東日本大震災の津波で児童と教職員あわせて84人が犠牲となった、宮城県石巻市の大川小学校をめぐる裁判で、仙台地裁は一連の裁判で判決の基となった裁判記録を、永久保存にあたる「特別保存」に認定しました。

 仙台地裁が8月26日付で特別保存に認定したのは、2014年の提訴から2019年に判決が確定するまでに提出された、双方の主張や証拠、法廷でのやり取りなどをまとめた裁判資料です。記録には、遺族の意見陳述や教員らの証言調書、さらに遺族たち自らが避難経路を検証した映像なども含まれていて、その量は、厚さ約10センチのファイル25冊分に及びます。

 この裁判では、児童23人の遺族が真相の解明を求めて石巻市と県を提訴。一審では「教員らは津波が来ることを予測できた」として学校側の過失を認定。さらに二審の仙台高裁は、「学校側は児童の安全を確保する義務があり、地域住民と比べてはるかに高いレベルの防災知識や経験が求められる」として、学校側の事前防災の不備を認めました。その後最高裁が上告を退け、2019年10月、判決は確定しました。

 元原告の一人で小学3年生の長女を亡くした只野英昭さんは、khbの取材に対し、「責任の所在が明らかとなった記録が保存されることには意義がある。しかしこれで終わりではなく、未来の子どもたちの命を守るために、明らかとなった事実と教訓を教育現場に生かしていくことが重要だ」とコメントしています。