仙台市太白区に仙台市で唯一、小学生だけでつくるジャズのビッグバンドがあります。イベント出演が決まり、練習を重ねるバンドと、それを支えるOBでプロのサックスプレーヤーの思いを取材しました。
今月13、14日に仙台市中心部で開かれた「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」。大人顔負けの演奏で会場を沸かせていたのは、小学生だけのビッグバンド、「夢色音楽隊」
松島あまなさん(6年生)「すごい緊張したんですけど、吹き始めてからお客さん達の笑顔が見れて、『あっ楽しいな』って思って演奏できました」
次の舞台は、khbのイベント「開局50周年あすとつながるぐりりパーク」です。
今月20日、土曜日、太白区の公民館に集まった夢色音楽隊のメンバーたち。毎朝の学校での朝練に加え、こうして土曜日も月に2回、練習を重ねています。夢色音楽隊は八木山小学校の3年生から6年生、約40人が参加するジャズが主体のビッグバンドです。
この日はイベントへ向け最後の通し練習。指導するのはプロのサックスプレーヤー、熊谷駿さん。自身も夢色音楽隊のOBです。音楽と出会ったのも夢色音楽隊の前身のブラスバンドが最初でした。
熊谷さんは高校時代にプロになろうと決意し、アメリカの名門、バークリー音楽大学を卒業。さらに最難関とされるニューイングランド音楽院に進み、サックス演奏を学びました。国内外のライブや演奏会で活躍するかたわら、現在は地元仙台でジャズの普及に努めています。
そんな熊谷さんの新たなチャレンジが夢色音楽隊です。引退した指導者の後を継いで、今年から後輩たちの指導を引き受けることになりました。
熊谷駿さん「元気なのでまとまりを作るのがすごく難しいんですけど、演奏を聞いていると元気をもらえる演奏をしてくれるので、楽しく指導していますね」
そしてkhbの50周年イベントで夢色音楽隊が演奏するのが、こちらの曲。今年開局50周年を迎えたkhbが熊谷さんに依頼して制作してもらった「紡−Spinning−」です。
元々は熊谷さんのソロ曲ですが、今回は夢色音楽隊と熊谷さんが共演、ビッグバンドバージョンが披露される予定です。
熊谷駿さん「なかなか子どもたちにとっては難しい曲にはなっていたんですけど、バンドにも支えてもらいながら、まずは思いっきり、ミスを恐れずに演奏してもらえたらなという思いです」
練習は順調。その一方で、心配なことも。
子どもたちが使っている楽器の老朽化です。長いもので20年以上の年季の入った中古楽器。先輩から大切に受け継いできましたが、細かい破損や音が出なくなるなど、メンテナンスが必要です。
本田あかりさん(5年生)「やっぱり使ってくると、落としたりして曲がってきちゃったりして音が出なくなったりするので、そういうとこを直したり、ピストンが堅くて音が出なくなってしまうことがある」
月2500円の部費ではまかなえないため、夢色音楽隊では使わなくなった楽器の寄贈を募っています。そのほかにも楽器の修理代や購入費などに充てるため、クラウドファンディングでも約100万円の支援を呼びかけています。すべては、子どもたちに心から音楽を楽しめる環境を作っていくためです。
そして、本番へ向け、みんなの思いは高まっています。
成田志乃さん(6年生)「野外なので沢山ひとが来ると思うので、いい演奏を届けられたらと思っています」みんなで一致団結、一緒にいい演奏を奏でられたらと思います」
熊谷駿さん「子どもたちの生き生きした、元気に、にこにこ演奏している姿をお客さんに見てもらいたい。子どもたちが演奏したことで、お客さんも含めてみんなが一つにつながるような、そんな瞬間になればと思います」