「一票の格差」が是正されないまま行われた7月の参議院選挙は憲法違反だとして弁護士らのグループが選挙の無効を求めていた裁判で、名古屋高裁金沢支部は訴えを退けながらも選挙は「違憲状態だった」と判断しました。

 訴状などによりますと、7月の参院選では議員1人あたりの有権者数が最も少ない選挙区と最大の選挙区の格差が3.13倍となっていて、憲法が定める投票価値の平等に反しているとして弁護士らが北陸3県の選挙管理委員会に対して選挙の無効を求めていました。

 今月29日の判決で名古屋高裁金沢支部の大野和明裁判長は「一票の最大格差が前回2022年の参院選の3.03倍から拡大したこと、その後の最高裁判決が国会での抜本的な制度見直しを求めたにもかかわらず具体的な方策を講じるに至らなかったこと」を指摘しました。

 そのうえで、今年7月の参院選の投票価値の不均衡は違憲の問題を生じる程度の著しい不平等状態に至っていたと判断しました。

 しかし、国会が格差是正の取り組みを始めていても今回の選挙で不均衡を改善できたとは認められないとして、無効請求については棄却しました。

 7月の参院選を巡っては、弁護士グループが全国14の高裁と高裁支部に合わせて16の訴訟を起こしていて、今回の判決は2例目。

 「合憲」の判決を言い渡した大阪高裁と判断が分かれました。