世界で原油の「争奪戦」が起きています。日本が中東以外での調達を模索するなか、早くも生活の足であるバスに影響が出ています。
■あさって国家備蓄の石油放出へ
高市総理大臣 「ホルムズ海峡における航行の安全の確保を含む中東地域の平和と安定の維持は、エネルギーの安定供給の観点も含め、日本含む国際社会にとって極めて重要です」
緊迫化する中東情勢に関する関係閣僚会議が24日朝、初めて開かれました。
イランによる実質的なホルムズ海峡の封鎖で、供給に不安が広がる石油については。
高市総理大臣 「万が一にもガソリンなどの石油製品の供給に支障が生じないよう、石油製品の日本全体として必要となる量を確保するため、3月16日より民間備蓄の放出を開始し、今週26日から国家備蓄の放出を開始します。さらに産油国共同備蓄についても、3月中には放出が始まる予定です」
すでに放出が始まっている民間備蓄の石油は15日分。26日から放出される国家備蓄の石油は、およそ30日分です。
ただ、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃が今後どうなっていくかはまだ見えていません。
赤沢経済産業大臣 「ホルムズ海峡を経由しない代替ルートからの調達を拡大する動きも進めております」
日本は原油のおよそ95%を中東に頼っています。そして、そのほとんどがホルムズ海峡を通って輸送されてきていました。
代わりとなる調達先は、急に見つかるものなのでしょうか。
石油連盟 木藤俊一会長 「我々、原油の調達は各社の判断によって行うものでありますけれども、特にやはり北米が一つのターゲットにはなります。また、南米、中南米、エクアドル、コロンビア、メキシコ、こういったところが可能性としてはあるのかなと」
政府関係者によると、ここに上がったのとは別の国も調達先として検討されていることが分かりました。
■中東以外で輸入検討 問題は?
中央アジアのカザフスタン、そして南米のブラジルです。現在、そのどちらの原油も日本には入っていません。中東の原油の代わりになるのでしょうか。
“石油流通”に詳しい桃山学院大学 小嶌正稔教授 「数量的にすべてをカバーすることはできないが、代替案としては悪い選択肢ではない。中東のUAEとかサウジに比べれば持っている量が非常に少ない。もう完全に代替するというよりは、少しでもいくつかの方法として挙げられているんだと思います」
原油の質は良いといいます。
小嶌正稔教授 「油は全部軽いから重いまでずっとあって、結局軽いものが高い。重いものは安い。実はカザフスタンもブラジルも両方とも非常に軽質で良い原油なんですね」
一方、日本の精製会社の製油所は中東産の重い原油、安い原油を前提にした設備になっています。
小嶌正稔教授 「安い原油を買ってきて装置でお金をかけて作るのが日本流のやり方だと。ですからいいものを高く買ってくれば、その分だけ油が高くなっちゃうということですよね」
カザフスタンにある油田の権益の一部は、日本政府が出資する資源開発企業が保有しています。また、ブラジルとも長年の友好関係にあります。
では、なぜこれまで輸入してこなかったのでしょうか。
小嶌正稔教授 「カザフスタン、ブラジルも両方とも日本と非常に良好な関係だが、とにかく距離が遠い」
それも当然、コストに跳ね返ってきます。
小嶌正稔教授 「ブラジルから持ってきて太平洋を横切って来るわけではありませんから。まずアフリカの方を回って喜望峰を回って出てきます。カザフスタンも同じです。中東を通らずにずっと喜望峰を回ってからマラカ海峡を通っていきますのでその分は圧倒的に日数がかかる。中東に比べると輸送費が非常にたくさんお金がかかるということです」