孫を大学に合格させるため、市長が校長にお金を渡したとされる事件。あれから20年、焦点となっているのは“市長のアリバイ”です。

■孫の合格のため“校長に賄賂”

 およそ20年前に起きた贈収賄事件は、冤罪(えんざい)だったのか。無実を訴えるのは北川好伸さん(78)です。

旧天竜林業高校 北川好伸元校長 「検事の人間性というか、検察そのものの組織というか、そういうものに対する憤りを感じました」

 事件は、2006年と2007年に静岡県浜松市にあった旧天竜林業高校の校長室で起きたとされています。

 当時、校長だった北川さんは浜松市と合併するまで天竜市長を務めた中谷良作さんに大学の推薦入試で孫が有利になるよう依頼され、職員に調査書の改ざんを指示。

 見返りに、中谷元市長から2回にわたって合わせて20万円を受け取ったとされています。

 刑事告発された北川さんは捜査段階から一貫して否認。ですが、2010年に懲役2年6月、執行猶予4年の判決が下され、中谷元市長も贈賄を認め、有罪が確定しました。

 そんななか…。

旧天竜市長 中谷良作さん 「私は北川さんに贈賄など一切していません」

 一転、中谷元市長が「虚偽の自白を強要された」として北川さんに謝罪。北川さんは裁判のやり直しを求め、再審請求に踏み切りました。

北川好伸元校長 「学校の教職員1人が(事件の日に)玄関で中谷元市長と会ったと、その証言だけで立件されている。私は(中谷元市長に)会った記憶は全くありませんし会ってもいない。薄い証言・証拠での贈収賄が成り立っていることをもう一度、皆様方に訴えたい」

■20年前“市長のアリバイ”焦点

 今月24日午後、行われたのは再審を行うかどうか判断するための弁護団と検察、裁判所による三者協議。

 論点は、事件があったとされる日の「中谷元市長のアリバイ」についてです。

 北川さんが中谷元市長から20万円のうち10万円を受け取ったのは2007年12月10日午前11時ごろとされていますが…弁護側はこの日、中谷元市長が午前10時半ごろに銀行を訪れ、保険の契約を行い、午後0時半ごろに店を出たと主張。

 判決確定後には、検察側の取り調べメモに12時26分退店との記載があったことなども判明していて、北川さんが高校で現金を受け取るのは不可能としています。

 一方、検察側は中谷元市長が銀行に入ったのは午前9時ごろで、11時ごろにいったん退店し、高校に向かったと主張しています。

北川元校長の弁護団 「検察が『一時退店した』と『銀行をいったん退店した』と新しく言い始めているから、『証拠があるのか』と聞くと結局何も出してこない。(銀行の)防犯カメラもあるかないかも回答してこない」 「『防犯カメラの記録が銀行に保管されているのであれば、それも確認して出してもらうことを捜査としてやってほしい』と裁判所が検察官にお願いをした。検察官は『承知しました』と『検討する』と」

 24日の協議は20分弱で終了。次回は5月に行われる予定です。

北川好伸元校長 「(警察・検察が)私の有罪、これを構築するために証拠・供述を偽装した、これは間違いない」 「(Q.(協議に)どのような感触を持った?)良い感じを持ちました、非常に良い感じを持ちました」