クマが侵入し、4人がけがをした福島県の工場では4日も警戒が続いています。なぜ、6月に人を襲うクマが増加するのか。専門家は「2つの理由」を指摘します。
■巨大ヒグマが“つきまとい”
住宅近くの山林に設置したカメラが雌とみられるヒグマの姿を捉えます。
歩いていく雌のすぐ後ろから現れたのは巨大なヒグマです。雌の後にぴったりとついて追い掛けているように見えます。
雄グマは、たっぷりと脂肪を蓄えています。どれくらいの大きさなのでしょうか。
ヒグマを30年観察 黒澤徹也さん 「相当、大きいと思う。体長2メートル以上体重350キロくらい。今回もすごく太っていて“メタボヒグマ”」
撮影した黒澤さんによりますと、雄のヒグマは350キロ級だといいます。
2日後にも雌に付きまとう雄の姿を別のカメラが捉えていました。数メートルしか離れていない間隔で、巨体を揺らして追い掛けていきます。
実はこの時期、特有の行動だといいます。
ヒグマを30年観察 黒澤徹也さん 「繁殖期に入り雌を追い掛けている。1頭にターゲットを絞ったらずっと追い掛けている感じ。1頭の雌に2頭の雄が追い掛けるシーンも過去には撮影」 クマの繁殖期にあたる6月は「特に警戒が必要」と専門家は注意を呼び掛けます。
北海道猟友会札幌支部 ヒグマ防除隊 玉木康雄隊長 「今、繁殖期に入って雌の行動半径は小さいが雄はかなり広範囲に移動して生殖行動をする。普段いない雄の個体がどんどん入ってくる、縄張り争いも」 警鐘を鳴らすのは札幌市でクマの対応にあたっている「ヒグマ防除隊」の玉木康雄隊長です。
北海道猟友会札幌支部 ヒグマ防除隊 玉木康雄隊長 「場合によっては雄から逃げている雌もいる。そうすると非常に興奮状態になって危険。その雌が子グマを連れていれば子グマを守ろうとして『近くに寄ってくるものはすべて敵』みたいになる。繁殖期で我々が気を付けなければいけないのは色んな状態の個体が狭いテリトリーに入り、しのぎを削っている状態であると知って山に入るべき」 札幌市では、これまで市街地などで度々クマが出没しています。
市は「人を見てもすぐには逃げないクマ」を「有害性レベル2」と定め、場合によっては駆除を行うとしています。
■工場 きょうも“厳戒態勢”
6月に入り、人への被害が相次いでいる福島市では4日も厳戒態勢が敷かれています。
クマが侵入した工場では警戒が続いています。
2日午前6時半ごろ、クマはまず別の工場に現れます。逃げる男性を追い掛け回し、背中などに攻撃します。
走り去ったクマは建物の中に入ります。そして、ガラス扉を突き破って再び戻ってきました。
クマは興奮状態になっていたとみられます。
さらにその後、クマはもう1つの工場へ。敷地内を走る姿を捉えた写真です。
クマは鋭い爪やきばで男女4人を襲いました。体長は1メートルを越えるとみられます。
岩手大学 山内貴義准教授 「興奮状態になると、こういう感じでよだれも垂らしながら走り回る。人と接触、車に驚くなど、びっくりして興奮状態になる。パニック状態になると猛烈なスピードで走り回り、非常に危険な状態に。視界に入る人を次々に襲うことは過去の事例にもある。今回の個体も陥ってしまったか」
4日、福島市の馬場市長は緊急会見を開きました。
福島市 馬場雄基市長 「私たちは緊急銃猟の体制を取った。しかし、3日午後10時50分ごろ、敷地外へクマが移動。そして、市としては午後11時5分ごろ、確認が取れたので現地の緊急銃猟体制を解除した」 2日にわたって工場に居座ったクマは3日夜、敷地の外へ去っていく姿が確認されました。
■カギを開け 蛇口の水飲む姿
市によりますと、建物1階の窓は鍵が掛かっていましたが壊されていました。クマがこじ開けて逃げたとみています。
さらに、水道の水が出しっぱなしになっていたといいます。
福島市の担当者 「蛇口もクマが開けたものというふうに職員が見ている。蛇口に手を当てながらクマが水を飲んでいたのを確認した。出しっぱなしのままというのは工場としてはなかなかないと思っているので、クマによるものと理解している」 人を襲ったとみられるクマが市街地を走り回っていた姿を複数のカメラが捉えていました。
2日午前6時半ごろ、工場で従業員2人を襲った直後とみられます。
さらに同じ時間帯、ドライブレコーダーにもクマの姿が…。
突然、車の前に飛び出してきて猛スピードで踏切へ。運転していたのは近くの小学校の教頭でした。
福島市立野田小学校 久能潤一教頭 「運転している時にバックミラーに大きな黒い物体が出てきたので何事かと思って、クマだと。これは危ないと。ここの歩道は子どもたちの通学路で奥に中学校もある。1時間違っていたらと思うとぞっとする」 人を襲ったクマの行方は分かっていません。
福島市 馬場雄基市長 「クマは依然として市内にいる可能性が高いと思われる。市としては引き続き関係機関と連携し、パトロール等も強化しながら警戒にあたっている」
■繁殖期と親離れに注意! 今回のクマの特徴について、専門家は…。
岩手大学 山内貴義准教授 「もしかしたら親離れしたばかり。そういった個体が街中に一時的に迷いこむことは結構ある話なので、その可能性もある」 6月はクマの繁殖期であるとともに子グマが親離れする時期でもあるため、注意を呼び掛けています。