高齢化が進む中、お年寄りが役割を持って子どもや地域の人と関わることで、孤立防止や生きがいづくりにつなげようという仙台市若林区の施設です。

 ブロックパズルの組み立て方を園児に説明する両角郁子さん(81)は、老人ホームで暮らしています。保育士として35年間働いていた経験を生かし、老人ホームに併設されている保育園で週に2回から3回、園児たちと交流しています。

 郁子先生と呼ばれる両角さんは、一緒に働く保育士にとっても頼もしい存在です。
 アンダンチ保育園伏見瑞穂さん「すごい子どもたちもニコニコしてて、郁子さんが話しかけてくれるだけで、すごい一緒に絵本読もうとか結構遊ぶようになっています」
 郁子先生も、園児たちと触れ合うことに生きがいを感じています。
 両角郁子さん「楽しいです。子どもたちのいい顔とか笑った笑顔とか、とっても素敵です」

 仙台市若林区なないろの里にある複合施設アンダンチは、介護付き老人ホームを中心に保育園や障害者の就労施設、地域の人も利用できる食堂などが一体となった施設です。老人ホームには70代から100歳代までの高齢者約50人が入居していて、職員のほか介護士や理学療法士などが24時間態勢でサポートしています。

 超高齢社会となり宮城県でも高齢者は年々増え、総人口に対しての65歳以上の割合を示す高齢化率は2026年に初めて30%を超えました。2040年には高齢化率が37.9%と県民の約4割が高齢者になると予想されています。

 こうした中、高齢者が周囲とつながりを持ちながら暮らせる環境が求められています。アンダンチという名前には世代の違いや障害の有無にかかわらず、あなたの家になってほしいという意味が込められています。
 ※あんだ=あなた、ち=家

 代表の福井大輔さんは、入居する高齢者がそれぞれ役割を持って暮らすことを重視して施設を運営しています。
 アンダンチ福井大輔代表「できることも役割としてこういうことはどうかっていう提案とかをしながら、その人にやってもらいたいちょっとしたお仕事、そういうのもやりながら暮らしをどう作っていくかは考えてますね」

 入居者も周囲との関わりの中で、自分たちの役割を果たすことにやりがいを感じています。
 入居者「最初は施設併設の店でレジ係をしたりしたんですね。毎日小学生とか子どもが来て買い物していくので刺激を受けました。元気な子だなっていう」

 アンダンチでは、定期的に地域の子どもたちなどを招いてイベントを開催しています。この日は、夏の恒例行事アンダンチ縁日です。入居者たちがトウモロコシを焼いて販売したほか、縁日の締めくくりには年男や百寿など節目を迎えた入居者が、自分たちで作った餅で餅まきしました。

 縁日は地域の子どもたちにとっても高齢者と触れ合うことができる貴重な催しです。
 参加者「祖父母が遠いのでなかなか関わる機会はないんですけど、仲良くする機会になってとてもいいなって思ってます」
 アンダンチ福井大輔代表「外に出て歩いてお店の人や地域の方と話す機会が多かったので、そういうところは入居者にとっても良かったんじゃないかと思っています」

 アンダンチの取り組みは、福祉に関わる若い世代にとっても良い教材となっています。東北福祉大学では2026年から毎年、保健看護学科の1年生がアンダンチの施設で研修しています。学生たちは配膳やレクリエーションの補助など入居者の生活をサポートするだけではなく、入居者が人とのつながりの中で支えあう仕組みについても学びます。
 東北福祉大健康科学部下山田鮎美教授「養成したい看護職の姿があるんですけれども、病院の中だけではなくて、地域の中で色々な方のお役に立てるような看護職を育てていきたい。その人らしく生きることを支える意味について落ち着いて考えることができると、より学びが深まるのかなと思っています」

 全国でも珍しい地域に開かれた複合型の福祉施設では、入居する高齢者が支えられるだけではなく、地域を支える存在にもなっています。元保育士の入居者、郁子先生も支え合う重要性を感じています。
 両角郁子さん「こちらに伺わせていただくようになって、ますます元気になりました。子どもたちからエネルギーをいただいております。体が動く限りは続けたいです」

 代表の福井さんはアンダンチの取り組みを多くの人に知ってもらい、ネガティブに受け取られがちな施設へのイメージを変えていきたいと考えています。
 アンダンチ福井大輔代表「介護が必要な状況なので、ここに入って住まいの不安を払拭した中で、新たな生活を作って自分の人生や生活の質を上げポジティブになってほしいと思います」