東日本大震災で、長期間に及んだ避難生活での健康管理など医療や保健体制の経験が、WHO=世界保健機関のガイドブックに盛り込まれました。

 世界各国が、災害医療への備えを進める際に教科書として使われることになります。

 これは東北大学の研究者らが、東日本大震災の災害医療の状況を調査し、WHOがまとめ、2021年10月に英語版が出版されました。

 ガイドブックには、中長期的なメンタルヘルスをケアする体制づくりや、広域的な救急搬送など東日本大震災の経験が盛り込まれています。

 江川新一教授「このようなシステムというのは、世界的に見ても非常にまれですし、体制として整備されているのは我が国が先端と言っても構わないと思っている」

 震災前の体制は、災害拠点病院の指定や災害医療派遣チーム=DMATの結成などでしたが、震災以降、精神医療やリハビリ、血液透析といった細部にわたった体制がとられてきました。

 中でも災害医療の調整役を果たす災害コーディネーターは、震災前は全国で4県のみでしたが、その必要性に注目が集まり現在では全都道府県に置かれています。

 東北大などのグループでは、2022年の秋に向けガイドブックを日本語に翻訳するとともに、国内での普及に取り組むということです。