10月から宮城県の最低賃金が時給で65円引き上げられ、1038円となる見通しとなりました。引き上げ幅は過去最大で、1000円を超えは初めてです。

 最低賃金は企業が労働者に最低限支払わなければならない賃金で、宮城県では現在全国平均を下回る時給973円です。

 最低賃金について議論する国の審議会は、2025年度の改定では全国平均で63円引き上げるとする目安を示していました。

 宮城労働局で開催された審議会では、宮城県の最低賃金を目安より2円高い65円引き上げ、1038円とすることが答申されました。

 引き上げ幅は2024年度の50円を超えて過去最大で、金額も初めて1000円を超えることになります。

 新しい最低賃金は、10月から適用されます。

 最低賃金の引き上げについて、専門家はメリットを挙げた一方で懸念も示します。七十七リサーチ&コンサルティングの田口庸友首席エコノミストは、最低賃金の引き上げのメリットとして、生産性が低いとされる飲食サービスや小売業などの賃金を底上げする効果を期待します。

 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「特に非正規雇用で働いている人が最低賃金の近くの賃金で働いているということで、この人たちにとっては10月から即賃上げの恩恵がある非常に大きなメリットであると思います」

 一方で、企業にとっては人件費の負担が大きくなることで採用控えが起こり、これから仕事を探そうという人たちに不利益が生じると懸念を示します。

 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「実際、最低賃金の引き上げをペースアップしてから全国も宮城県も企業の求人が減少傾向。もちろんそれだけの理由ではないのですが、結局企業にとって労働力が非常に高い買い物になってしまっていて、採用控えが起こっている」

 更に、大手企業は賃上げ分を価格転嫁することで値上げのメリットを得られる一方、中小企業は価格転嫁の交渉が難しいケースがあり、企業の規模間や地域間の格差を拡大することになりかねないと話します。

 七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席「(行政は)今まで海外展開を躊躇していた企業の背中を押す場合によっては連携した取り組み、支援がメインになって企業が自立して稼げるような体質に変わっていくのを後押しすることが大事」