福島第一原発の処理水の海洋放出について、村井宮城県知事は「放出に反対する姿勢は変わらないが、今後は県からも風評被害対策を提案していきたい」と述べ、国と東京電力に歩み寄る姿勢を示しました。

 これは29日に開かれた、官民連携会議の中で村井知事が述べたものです。

 会議ではまず、国と東京電力が風評被害について新たな対策を示しました。

 具体的には、政府が生産量回復に向けた経費を漁業者に助成することや、需要が減少した場合の支援策として、冷凍向きの水産物の一時的な買取りや保管、販路開拓などが示されました。

 水産関係者からは、対策を評価する声が上がった一方で「水産加工県としてのイメージを守ってほしい」「海外に向けた対策も考えてほしい」といった声が上がりました。

 県漁協寺沢春彦組合長「震災11年を過ぎた中で、更なる処理水といった問題を抱えると風評被害に我々不安でしょうがないんです。風評が起きない環境を今すぐにでも始めてほしい」

 また、村井知事は引き続き放出には反対としながらも、既に始まっている風評被害を最小限に食い止めるため、県が先頭に立って対策を提案していきたいと国と東京電力に歩み寄る姿勢を見せました。

 村井知事「このまま立ち止まって反対だと言い続けていても、工事に向けた準備は進みそれによって風評が発生する可能性が十分ある。現時点で取り得る最善の策を今後は考えていくべきだろうと」