小指の爪ほどのマイクロチップ。6月1日からペットショップやブリーダーが販売する、犬や猫への装着が義務付けられます。その背景と課題です。

 飼い主にとって家族の一員である犬や猫。コロナ禍のおうち時間をペットと過ごす人も増えています。そんなペットに6月1日からマイクロチップの装着が義務付けられます。
 マイクロチップは、直径2ミリ、長さ1センチほどで、犬や猫の首の皮膚の下に注射します。
 P&Lジャパン大友宣明取締役「年々改良されてすごく丈夫になったので、ちょっとやそっとぶつけても中で壊れたりしないということもお客さまにお伝えして、安心していただいていると思います」

マイクロチップに飼い主の情報

マイクロチップ

 仙台市太白区にあるこちらのペットショップでは、10年ほど前からすべての犬や猫にマイクロチップを入れて販売しています。マイクロチップが埋め込まれた部分に専用の読み取り機を当てると、15桁の番号が表示されます。
 この番号からデータベースに登録されている飼い主の名前や住所、連絡先などを照会することができます。
 P&Lジャパン大友宣明取締役「迷子でも問い合わせをしないですぐ情報が出てくるので、目に見えない身分証という感じになると思います」

 6月1日から施行される改正動物愛護管理法では、ペットショップやブリーダーが販売するすべての犬や猫に、マイクロチップを装着することが義務付けられます。飼い主も名前や住所、連絡先などを30日以内に登録しなければいけません。既に飼われている犬や猫への装着は飼い主の努力義務です。
 違反した事業者には都道府県知事が勧告や命令を行い、悪質な場合は業務を取り消されます。

きっかけは阪神・淡路大震災 飼育放棄の抑止も狙い

読み取り機でデータを照会

 日本で導入へ向けた議論が始まったのは、阪神・淡路大震災で多くの犬や猫が迷子になったことがきっかけでした。更に近年、社会問題になっている飼育放棄の抑止もマイクロチップ義務化の狙いです。
 環境省によると、宮城県内で2020年度に迷子や飼育放棄などの理由で保健所や動物愛護センターに保護された犬や猫は1800匹に上っています。半数以上が、譲渡会で新しい飼い主が見つかったり、ボランティア団体に引き取られたりしていますが、殺処分される犬や猫もいます。その数、681匹。

引き取り依頼が後を絶たず

譲渡会を開催するボランティア団体

 宮城県美里町で11年前から活動しているボランティア団体、バトンタッチです。団体では、保健所のほか病気や引っ越しなどで飼えなくなった飼い主から年間150匹ほどを保護し、譲渡会で新たな家族につなげています。
 犬猫里親探しの会バトンタッチ小松美岐子代表「飼えなくなったので、引き取って欲しいとか、今こういう状況なので何とか救ってほしいとか。昔ほどは多くないにしても、個人からの引き取り依頼が後を絶たないという感じはあります」

 迷子や飼育放棄の減少が期待されるマイクロチップの義務化。飼い主の反応は。  
 飼い主「散歩している時とかに突然何かが起こって手を離しちゃったりした時に、どこかに行っちゃったりする可能性がないとは言えないので、そういう時に探しやすい」
 「良いことだと思います。責任を持って飼うというので」
 「人間も一緒で入れること自体が嫌じゃないですか。ワンちゃんがかわいそうかなってちょっと抵抗があります」

 マイクロチップが入っていると安心という声が聞かれる一方で、不安を持つ飼い主もいます。どれだけ理解を得られるかが課題です。更に。
 犬猫里親探しの会バトンタッチ小松美岐子代表「迷い犬や飼い主を探すのには有効だと思うんですが、名義変更をしないままだったりするとマイクロチップの有効性はかなり低いのかなと思います」

飼い主の自覚が不可欠

「飼い主の自覚が不可欠」

 マイクロチップにひも付ける情報の登録は、飼い主自らが行うことになっているうえ、300円から1000円の登録料がかかるため、登録が徹底されるのかという懸念もあります。引っ越しや譲渡した際に、情報が更新がされないことも考えられます。
 こうした課題について、登録事務を所管する県の担当者は「災害時や迷子になった時など、マイクロチップのメリットは大きい。ホームページや保健所などで飼い主への周知に努めたい」と話しています。

 ボランティア団体の小松さんは、マイクロチップを飼育放棄の抑止に役立てるには、飼い主の自覚ある行動が不可欠だと考えています。
 犬猫里親探しの会バトンタッチ小松美岐子代表「マイクロチップがすべてを解決するわけではないと思うので、やはり一人一人が犬や猫に対して愛情を持ってどんなことがあっても守り抜くとか。犬猫を道具扱いしないそういう世の中になってもらいたい」