JA全農が各都道府県の組織に販売する肥料の価格を、最大で94%値上げすることになりました。農家からは、経営が成り立たないと悲痛な声が上がっています。

 JA全農は5月31日、各都道府県の組織に販売する肥料価格について6月分から10月分までを発表しました。

 それによりますと、2021年11月から2022年5月に比べ、輸入の尿素が94%、塩化カリウムが80%も値上がりします。 値上げの理由については、尿素の主な生産国であるロシアがウクライナに侵攻したことや、輸送費用の高騰、急激な円安などを挙げています。

 しかも、この肥料の価格高騰は長引く可能性があると言います。

 JA宮城県中央会高橋正会長「今のウクライナの問題がいつまで続くか見通せないことから、かなり長期間にわたり影響を受けると思います」

 宮城県大崎市古川の専業農家鈴木久義さんです。鈴木さんは、ひとめぼれやササニシキを6ヘクタールの水田に作付けしています。 今回の肥料の値上がりは、打撃になると話します。

 鈴木久義さん「やっぱりきついですよね、最終的に出て行くお金ですからね」

 鈴木さんは毎年、田植えの時期に20キロ入りの化学肥料を70袋ほど使用します。

 2022年の春に使った肥料の価格は、1袋3960円。2021年より10%値上がりしていました。

 米の価格も下がる中、これ以上肥料価格が上がれば経営に影響が出ると懸念します。

 鈴木久義さん「(米の値段が)60キロ当たり3000円以上値下がりしたばかりで、収入が少なくなっているわけですよ。(肥料1袋)20キロで360円くらいの価格が上がっている訳ですから、すごい痛手ですよね」

 鈴木さんは、日本の農業を守るためにも国の支援が必要と訴えます。

 鈴木久義さん「国が、日本の基幹作物である米をどのように考え、どのように国民の皆さんに作ったり食べたりしたらいいのかもう一度考え直してもらいたいと思うわけです」