日本三景・松島の魅力アップを目指して、多くの観光客が訪れる海岸地区の国道に歩行者天国を設ける社会実験が30日まで行われました。観光客らからはおおむね好評でしたが、車が迂回する周辺の道路では混雑が発生したため、県などは課題を分析し2023年の実験に生かす考えです。

 宮城県松島町の海岸地区を通る国道45号では慢性的な渋滞が発生し、大型車両も多く通ることから観光客らからは不満の声が寄せられていました。

 今回の社会実験は、こうした課題を解決し新たなにぎわいにつなげようと、宮城県や国、地元自治体などでつくる協議会が実施しました。

 28日から30日までの3日間、観光客の多い海岸地区を通る国道45号を、700メートルの区間で大型車の通行を規制し、このうち250メートルの区間では車両の通行を禁止して歩行者天国を設けました。

 歩行者天国となった区間の車道にはテーブルやいすが並べられ、飲食を楽しんだり休んだりする人の姿がありました。

 訪れた人「初めて来たので、いつもこうなのかと思ってたんですけど、すごい開放的でいいなと思いました」「やっぱり特別、観光地としてのイメージというか、雰囲気がずっと上がりますよね。どうしてもここダンプとか通るといった日常が無い感じがいいかなと思います」

 飲食店からも歓迎する声が聞かれました。 利久松島五大堂店佐藤誠店長「歩いていろいろな所を道路を横断したりとか、そういったところで(人出も)出ていらっしゃいますし、お客さんの反応も皆さんのんびり歩いていらっしゃるなっていう印象でございます」 県が観光客に実施したアンケートの速報値では、回答した約160人のうち9割以上の人が今回の社会実験を「良い取り組みだ」と回答したということです。

 県道路・斎藤和城課長「来られた観光客の方からは、往々にして好評をいただいております。にぎわいとしてはある程度つくれたのかなと思っております」

 一方で、懸念されていたのが国道の通行止めに伴う周辺の道路での渋滞です。

 県は、付近を通る車に周辺の県道や町道への迂回を呼びかけました。

 目立った渋滞はありませんでしたが、初日の朝を中心に迂回路につながる国道の交差点で混雑があったということです。

 更に、通行止めを知らずに歩行者天国の近くまで来た一般車両がUターンする光景も見られ、県は案内や迂回について周知の方法を見直したいとしています。

 県道路課斎藤和城課長「どうしても周知という面が不足しているというご意見もありましたので、できれば手前からもう少し早め早めに看板を出してほしいという意見もありますので、そういった点は課題かなと思っております」

 県は今後、地元の住民や観光事業者、トラックのドライバーらにアンケートを行い、年度末をめどに実験の検証の結果をまとめ、2023年度、実施する際に生かす考えです。

 県は、松島の海岸地区を通行止めにして歩行者天国とすることで、観光客がゆったりと買い物などができ滞在時間が増えるみていて、その点からしても第一回目の今回は成功と評価しています。