宮城県南三陸町のホテルでは、震災の記憶を風化させないために、スタッフが震災の記憶を語る語り部バスの運行を続けています。

 語り部バスは、南三陸ホテル観洋が運行しています。

 ホテルのスタッフや地域住民が語り部となり、旧防災対策庁舎や民間の震災遺構、高野会館などを約1時間かけてバスで巡ります。

 南三陸ホテル観洋伊藤文夫さん「海が見えましたね。あの海がこのバスの上を襲ってきていると想定してみてください。あの日こちらを襲ってきた波の高さが、そこにあるんですよ。とても想定がつかないようです」

 震災直後の2011年春に運行を始めてから、これまでに延べ42万人以上が語り部バスに乗車してきたといいます。

 神奈川県から参加「思っていたより高い所まで波が来ているなと」

 仙台市「三陸の方に来てなかったので、来てみたいなと。とっても参考になりました」 しかし、新型コロナの影響で観光客は一時激減。

 それでも、ホテルは「現場に足を運んで見てほしい」との思いから運行を続けてきました。

 南三陸ホテル観洋伊藤文夫さん「これが私の家ですが(震災)3日目に見に行ったんです。板きれ1枚も残っていなかった。こんな恐ろしい自然災害があったなんて信じにくいですよね。そういう思いをしないでいただきたい、その思いで語り部を続けている」