宮城県の高齢化率は年々上昇し、高齢者だけで暮らしている世帯も増えています。高齢者の日常の困りごとを地域で解決しようという取り組みが、仙台市で始まっています。

 高齢者「エアコンでも何でも難しいの、書いてあるのは一切読めないから読んでも分からないし」「やっぱり重い物ね。持てないからそういう時は若い方に手伝ってもらえたらいいね」「子どもたちはいるけどそれぞれ生活あるでしょう。娘は埼玉県だし。そうするとやっぱり頼れないよね」

 不安を抱える高齢者の生活をサポートしようという取り組みが、仙台市で始まりました。
 太白区に住む山野孝枝さん(80)。この日は生い茂った庭の草刈りを市民サポーターに依頼しました。
 山野孝枝さん「(自分では)とてもできなくって。年に1、2回は業者さんに頼んでたんです。庭の草取りもするっていうからちょっと相談してみようかなって」

市民サポーターに草刈りを依頼

 仙台市がNTTドコモなどと組んで5月から太白区の八木山地区で始めたのが、お困りごと解決サービス実証実験です。
 事務局が高齢者から買い物や自宅の片付けやスマートフォンの操作など困っていることを聞き取り、その内容に応じて事前に登録し研修を受けた市民サポーターにサービスを依頼し、市民サポーターが高齢者の自宅などを訪れ支援します。

 今回の実証実験で、市民サポーターに登録しているのは学生や主婦など5人。同じ八木山地区に住む人が中心で、高齢者の暮らしを地域で支える狙いがあります。
 一軒家で1人暮らしをしている山野さん。週に1度、訪問介護を利用しごみ出しや水回りの掃除などはヘルパーに頼んでいます。しかし、庭の草刈りや窓拭きなどは対象外です。

 専門の業者に頼めば1時間当たり3000円程度かかりますが、このサービスでは半額以下の1時間1300円で依頼できます。
 山野孝枝さん「網戸も壊れてるしね。ちょっと高めのガラス拭きもあるじゃないですか。ヘルパーさんにもガラス拭きは別ですって言われる」

 子どもは東京都などに住んでいてすぐに駆け付けるのは難しいと言います。
 山野孝枝さん「仕事をしているから娘もね。不便なこともあったりしておいそれとは来ることができないし」

 市民サポーターの遠藤光さんは、仙台市の大学に通う3年生です。それまで続けていたアルバイトに代えて、何か自分にできることをしたいと応募しました。
 遠藤光さん「私の祖父母も田舎の方に住んでいて買い物とかで苦労しているのは見ていたので、誰か助けられたらいいなっていうのは思いましたね」

 山野さんの依頼に派遣されるのは、今回が3回目です。専門の業者ではない、市民サポーターだからこそ大事にしていることもあると言います。
 遠藤光さん「草刈りとかであっても普通の草刈りの業者の方とはまた違って、ご依頼者様とのコミュニケーションを取るということもサービスの一環だと思っている」
 山野孝枝さん「元気よくお話してくれるし、仕事も一生懸命やってくれるんですよ暑い中で」

高齢者のニーズに対応

 市民サポーターにとってはやりがいだけではなく、勉強や家事の隙間の時間を使って活動し、報酬を得られるメリットもあります。
 NTTドコモなどは大分県宇佐市と連携して実証実験を行っていて、仙台市が2例目です。
 NTTドコモ榎本尚之さん「高齢者の方、特に独居の方はなかなか頼る人が周りにいないという話がちらほらあった。高齢者の方々に何かしら困りごとを解決するソリューションを考えていきたいなと」

 こうした実験を全国に広げて、高齢者のニーズを把握し新たなビジネスにつなげることを目指しています。
 NTTドコモ榎本尚之さん「我々のデジタル技術や通信技術で幅広い貢献ができる。ライフスタイルの様々な場面で常にサポートできる、頼ってもらえるような存在でありたいと思っているので、そうした形でサービスを展開し貢献していきたい」
 実証実験は7月末まで行われ、仙台市などでは利用者やサポーターの意見を聞いた上で実用化を検討することにしています。