20日午前、宮城県の石巻港に係留中の貨物船内で酸欠状態で倒れている男性作業員2人が見つかり、1人が意識不明の重体となっています。
石巻海上保安署によりますと20日午前7時半ごろ、石巻港に係留していたパナマ船籍の貨物船の倉庫内で倒れている作業員2人がが見つかりました。
作業員はいずれも50代男性で、石巻市の病院に搬送されましたがこのうち石巻市の57歳男性が意識不明の重体だということです。
貨物船は18日から石巻港に係留してパームヤシの殻の積み込みを行っていて、2人は20日の午前7時半ごろから倉庫内で準備作業をしていました。
パームヤシの殻は石巻市のバイオマス発電所で燃料として使う予定でしたが、国内での期限が切れたことからタイへ輸出することになっていたということです。
倉庫は荷物を運ぶ際には密閉されていますが、当時は作業のため開いた状態でした。
倉庫内では有毒なガスは確認されず、換気が不十分で酸素が不足していた可能性があるということです。
石巻海上保安署は業務上過失致傷の疑いも視野に、事故の詳しい原因と安全管理が正しく行われていたかを調べています。
国内では過去に、貨物船から木材チップを取り出す作業をしていた際に作業員が酸欠で倒れる事故が発生しています。
貨物船の甲板の下には、船倉と呼ばれる貨物を積み込む場所が設置されています。
厚生労働省によりますと、過去には船倉内の空気中の酸素が木材チップに吸収され炭酸ガスを排出したことで酸素不足になり、作業員が酸欠になった事故が発生しているということです。
今回、貨物船では18日から船倉内にパームヤシの殻を積み込む作業が行われていました。
石巻海上保安署によりますと、パームヤシの殻は酸素を吸収しやすいということで、屋根状のカバーを開けて作業していたものの、作業開始当時、船倉の低い部分では酸欠状態になっていた可能性もあるとしています。
厚生労働省は、作業開始前に酸素濃度の測定や船倉内に備え付けられている可搬式の換気装置の使用を呼び掛けていて、宮城労働局は今回、これらの安全衛生管理が行われていたのか調べています。