「コメは買ったことがない」などという発言で批判を受けている江藤拓農水大臣に対して、石破茂総理大臣は事実上、更迭しました。

■コメ失言に批判集中

政治資金パーティーでの発言(佐賀県内 18日) 「私もコメは買ったことがありません、正直言って。支援者の方々が、たくさんコメをくださるんですね。まさに売るほどあります」

 江藤農水大臣は20日も発言の釈明に追われました。

立憲民主党 田名部匡代参院議員 「大臣、ぶら下がりでもですね、会場も盛り上がっていたのでちょっとウケを狙ったとウケ狙いって、いや、全然面白くないですよね。どこがウケると思ったんですか」

江藤大臣 「たしかにウケる話じゃないですよね。まったくピント外れだったと思います」

田名部議員 「おコメはもらうんだけど、売るほどたくさんではなかった。嘘をついたということなんでしょうか」

江藤大臣 「そのように断じられても仕方ないと思っております。あの後、妻からも非常に叱られました。だいたい我が家の食品庫は2畳の広さしかありませんので、(コメを)そこに山積みにできるはずが、そもそもありません」 「ただ私、言い訳はしたくないんですが、(地元の)宮崎はたくさん頂くと『売るほどある』というふうによく言うんですよ。ですから宮崎弁的な言い方でもあった」

 苦しい釈明に追われた江藤大臣。

田名部議員 「自民党はじめね、裏金もらう、商品券もらう、コメはもらう、自分たち苦しいけど、政治家なんだと思うんじゃないですか?」

 不適切発言翌日の19日、江藤大臣はことの重大さに気付いていませんでした。

「(Q.ご自身の責任の取り方として、進退についてはどのようにお考えでしょうか?)進退?」 「(Q.責任の取り方はどのようにお考えですか?)責任の取り方?」

 しかし、石破総理から官邸に呼ばれ厳重注意されると、態度を一変。

「大変厳しくお叱りをいただきました」 「(Q.進退を問う声もあります)私も総理のご意向で辞職するべきだと言われれば、そうするつもりできょうは官邸に参りました」

 帰宅後、“あるもの”を見て国民の怒りがどれほどのものか確認したといいます。

「きのう家に帰りまして、ずっといわゆるテレビ関係のニュースはずっと見ておりましたし、そして夜になってYouTubeであるとかSNS系を、朝明るくなるまでずっと見ました」 「国民の皆様方がいかに憤慨されているのか、どれだけ怒っておられるのかということをまあ見ていて、これから大臣を続けるということがあれば、そういうことから目を背けずに、しっかりと見たうえで職務に励むべきだと思いましたので、明るくなるまでずっと見ておりました」

 朝まで動画を見ていたためか、国会では、疲れを隠せない江藤大臣の姿が…。

■きのう午後に事態急転

 農水省は20日、先月27日までの備蓄米の流通状況を発表。3月に落札された21万トン余りのうち、1カ月たって小売業者などに届いたのは全体のわずか10%。

 また、スーパーなどの店頭価格にも影響すると言われる先月の「相対取引価格」も公表され、最高値を更新しています。

石破総理 「江藤大臣の発言はコメの価格が高いなかで消費者の皆様、生産者の皆様、双方に配慮を欠き極めて不適切なものであったと考えております。国民の皆様には大変申し訳ないことでございました。任命権者は私でございます。心より深くおわびを申し上げます。大変申し訳ございません」

 20日、江藤大臣を続投させ引き続きコメの価格高騰対策にあたらせる考えを示していた石破総理。江藤大臣の進退について野党の議員からはこのような声が上がりました。

立憲民主党 ベテラン議員 「あす党首討論までには辞表を出さざるを得ないだろう。野田代表に『更迭せよ!』と党首討論で言われた後に辞めるのはカッコ悪い」

立憲民主党 中堅議員 「不信任を実際に出して追い詰めるというより、チラつかせることで辞任せざるを得なくなる可能性もある」

公明党 西田実仁幹事長 「今コメが高止まりをしているなかにあって、国民の皆様の怒りが頂点に達しているなか、極めて不適切な発言であるということで、厳しく申し上げたところでございます」

自民党 森山裕幹事長 「公明党にもご迷惑をおかけしたことは、謝罪をさせていただきました」

 江藤大臣の発言に対して連立与党の公明党からも苦言が呈されるなか、国民民主党の玉木雄一郎代表は、20日午前の会見でこのように述べました。

「言葉尻を取ってね、地方での講演なんで、少し若干ウケ狙いでってご本人も言っていましたから。その1個1個を取り上げて、けしからんと首を取るみたいなことは言いませんが、その分結果出してほしい」

 江藤大臣に辞任を求めない考えを示した玉木代表。しかし、午後に国民民主党の榛葉賀津也幹事長は…。

「ふざけるなって話ですよこれは。こんな話ありえないでしょう。この人辞めなきゃだめですよ、これはもう。どう見たって国民許せないと思います。指摘された後からウケ狙いだったって言うんですよ。国民に失礼、生産家にも失礼、消費者にも失礼です」

 野党5党の国会対策委員長は、20日に国会内で会談を開き、江藤大臣の更迭を求める方針で一致。タイムリミットは21日午後3時に予定されている党首討論です。

立憲民主党 笠浩史国対委員長 「総理自身がやはりここできちっとけじめをつけさせる、あるいは更迭をする、そういったことを引き続き私どもとしては要求をしていきたい。もし、あすの党首討論でそういった総理自身の発言がなければ、あるいは事態が動かなければ、江藤大臣の不信任決議案の提出の検討に入りたいというふうに思っております」

 江藤大臣への追及を強める野党5党。石破総理は当初、江藤大臣を続投させる考えでしたが、野党の動きを受け方針転換。

官邸幹部 「江藤大臣を交代させなければ法案の審議は進められない」

 官邸幹部がこう話すなど、更迭は避けられない情勢に。石破総理は、21日午前にも江藤大臣を官邸に呼び、辞表を提出させる方向で最終調整しています。

■世襲批判に反発 地元は…

 2003年の衆院選で宮崎2区から出馬し初当選した江藤大臣。

当時43歳 「若い人たちにも、もっと政治に関心を持ってもらえるように、我々若い政治家が政界の雰囲気を変える、政治家のイメージを変える、そして政界を変える、そうやっていきたいと思っています」

 いわゆる世襲議員の江藤氏。その横には、建設大臣などを歴任した父・隆美氏の姿がありました。

初当選時 「(Q.世襲に対する批判の声に対しては?)それは、結果がこのように出していただいたんだから、それでいい。そういう批判があったことは認めます」

隆美氏 「(Q.世襲に反対する声をどう受け止めますか?)バカヤロウ!世襲だなんて言うな!だから、お前たちはな俺のところ出入り禁止にするっていうんだよ!なんでそういうことを軽々に言うんだ」

 江藤大臣は、父親の地盤や看板を受け継ぎ、これまでに当選8回。農水大臣に任命されたのは、2019年以来2回目になります。

宮崎2区の有権者 「もう親父さんの代から知っている。何回も会っていろいろ話した。親父さんは大きいことも言ったけど、それだけ実力はあった。あの人は、あんまり言っちゃいけないけど、2代目はちょっとね、そういう苦労を知らんから」

江藤大臣 「私は苦しくとも、どのようなご批判を浴びても、歯を食いしばって最後までやり遂げるのは、私の今やるべきことだというふうに心を決めました。ですから、そのようにさせていただきたいというふうに思っております」

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年5月21日放送分より)