きょうのなるほどハテナは「年金の改革法案」です。厚生労働省の試算では、基礎年金の底上げのあおりで一部の高齢者は受給額が減るといいます。何がどう変わるのでしょうか。
■基礎年金「底上げ」法案
今より年金の額が減ったとしたら…。
78歳の人 「ちょっとつらいですよ。大変だと思います」 82歳の人 「何とも言えない。もう生活していくなということかと」
“改革”は実現するのでしょうか。
自民・公明の与党と、立憲民主党が正式に合意した「年金改革法案の修正」。
立憲民主党 長妻昭代表代行 「修正案についてはおおむね評価いただいたのかなと」
修正案は28日、国会に提出され、早速審議入り。30日にも衆議院を通過し、今国会で成立する見通しですが一体、何が変わるのでしょうか。専門家の解説とともにみていきます。
■「大多数は年金額アップ」
現行のままでは“基礎年金が約30年後には今より3割下がる”と言われている年金制度ですが…。修正案には、その「基礎年金の底上げに向けた措置」が盛り込まれています。
底上げのために使われるのが「厚生年金の積立金」です。4年後の財政検証、いわゆる“年金の健康診断”で基礎年金の給付水準の低下が見込まれる場合には、この積立金を基礎年金部分に充てるということです。
年金制度に詳しい関東学院大学 島澤諭教授 「(積立金を)基礎年金の底上げに使うわけですから、その分、厚生年金が減ってしまう人も出てくる。一時的に年金受け取れる額が減る人もいるが、トータルで見れば大多数の人が受け取る年金額が増える」
実は、試算では“現在の経済状態が続いている場合”という条件付きではありますが、約30年後、夫婦2人のモデル世帯の年金は、厚生年金が減った分以上に基礎年金が増え、トータルで見ると2万円以上アップします。
■厚生年金“受給額”減る人も
一方で、すべての人の年金が増えるわけではありません。厚労省の資料によりますと、年金の受給総額で見た場合、就職氷河期世代を含む多くの年代で年金アップが見込まれますが、男性では現在63歳以上、女性では現在67歳以上の人が最大で23万円減る計算になります。
年金制度に詳しい関東学院大学 島澤諭教授 「今回の基礎年金の底上げは就職氷河期世代の救済というのが大きな目的。就職氷河期世代をすべての世代で支えようとなれば、今の高齢者に少し我慢いただくことになると思う」
街の人は、この試算をどう見るのでしょうか。
年金受給者(69) 「若い人はこれからいいんじゃないか。もらえる額が増えるなら良いと思う。今、我々がもらっているのは若い人たちが払っている分だから」
年金受給者(70) 「仕事していたから70歳になるまで厚生年金を支払っていた。減るんだ…。ずっと払っていたのに困ります」
また、仮に基礎年金の底上げを行った場合、その半分を賄う“税の財源をどうするのか”という問題も残っています。
年金制度に詳しい関東学院大学 島澤諭教授 「年あたり2兆円の財源を別途確保しないと、この基礎年金の底上げがうまくいかなくなるので、年金が増えたからといって手放しで喜べるものではない」
いずれにせよ、基礎年金の底上げが行われるかは4年後の状況次第です。