今SNS上では、意図的に作られた嘘の情報や事実と異なる誤った情報による波紋が広がっています。隣国ロシアからの巧妙なフェイクに幾度もさらされながら、それらに打ち勝った国と称される北欧・フィンランドを取材しました。

フェイク情報(フィンランド人を装った人物の投稿) 「NATOはフィンランドを救えない」

 フィンランドのNATO加盟を妨害するために拡散されたフェイク情報。

 さらには「対ロシア制裁が、フィランドの農家を廃業に追い込む」というフェイクニュースにもロシアが関与しているとみられます。

 フィンランドは、長年、このような“フェイク”にさらされてきました。

 しかし、フェイクが世論を喚起するには至らず、フィンランドはフェイクニュースに勝った国とも称されています。フェイクの防御壁となっているのが…。

 1970年代から学校のカリキュラムに「メディアリテラシー教育」が組み込まれ、幼少期から“フェイク”を見破る力が養われています。さらに…。

フィンランド アドラークロイツ教育相 「訓練を受けていない高齢者層もメディアリテラシーを身に付け、情報を批判的に判断できる力を持つ必要がある」

 2014年のクリミア侵攻以降、ロシアによるフェイクは急増し、デジタル技術の進歩により、巧妙になりました。

 ヘルシンキの図書館では、政府が後援する高齢者向けのセミナーが開かれています。

 参加者は、課題で出されたニュース記事について、スマートフォンで調べ、どこが誤っているか指摘します。

 教材用にAI(人工知能)で作られた元大統領の偽の演説動画が紹介され、最新技術を使ったフェイクへの注意喚起も行われています。

エルヤ・コイブレトさん(70) 「私と同年代の人がどれが正しいニュースかを知ることは、とても大切だと思った」

 技術の進歩ともに、進化するフェイクに対応すべく、世界では、試行錯誤が続いています。