なぜ水道管の破裂が相次ぐのか。劣化だけではなく、異常気象も関係しているようです。
■鎌倉で水道管から水噴出
静かな住宅街が濁流の中に。さらに、別の場所では突然の水柱が…。
大規模な断水をも引き起こす水道管の異変。
危機管理アドバイザー 国崎信江さん 「いつどこで起きるか分からない、自分で備えておくことが大事」
もし身近で起きたら、どう備えればいいのでしょうか。
28日未明、神奈川県鎌倉市で撮影された映像。土嚢(どのう)を積んだ車も押し流されそうな勢いです。
道路は約100メートルに渡って冠水。一部では水深が50センチ近くに…。
明るくなると、住宅街のど真ん中に大きな穴が開いていました。のぞくと水道管がむき出しに。ここから水が噴き出していたとみられます。
現場は鎌倉市浄明寺の住宅街。この道路に穴が開き、地下の水道管に異変が起きたのです。
影響は広がり、市内約1万戸が断水。日中の厳しい暑さが住民や観光客を直撃しました。
小町通りの飲食店は断水で臨時休業が相次ぎ、断水が解消しても蛇口からは濁った水が…。
飲み水として使えるようになったのは発生から約20時間後のことでした。
神奈川県によりますと、原因は水道管のつなぎ目にあるボルトの腐食。その影響で水が噴き出したとみられています。
さらに、今月18日には栃木県日光市でもトラブルが。道路から高さ4メートルの水柱が噴き出しました。
なぜ、各地で水道管の異常が相次いでいるのでしょうか。
芝浦工業大 稲積真哉教授 「老朽化が破損する理由」
国内の水道管の総延長は約74万キロ、地球18周分に相当します。そのうち、耐用年数の40年を過ぎている水道管は地球4周分を超えているというのです。
大阪府堺市でも30日、水道管が破損。漏水が起きました。
市の調査では、破損したのは1971年に敷設した水道管。老朽化による破損の可能性が高いといいます。
ただ、原因は老朽化だけではありません。
芝浦工業大 稲積真哉教授 「昨今の気象環境の大きな変化」
今、水道管に新たなリスクを与えているのが異常気象だといいます。
■異常気象で“破裂”なぜ?
水道管は地上から1、2メートルほどの浅い位置に埋まっていて、周りは土で保護されています。
芝浦工業大 稲積真哉教授 「大雨が降ったりすると、雨が土の中に浸透していくことによって土自体が緩んでしまう。それにより、その中にあった水道管自体が損傷を受けてしまう」
さらに、猛暑も破損の引き金に。高温によって土の水分が急激に失われるとひび割れが発生。その隙間から熱が水道管に伝わり、膨張。最終的に破損につながることがあるといいます。
断水への備え、どうすればいいのでしょうか。
危機管理アドバイザー 国崎信江さん 「(自治体による)給水があっても時間帯に在宅するなど不便も。一定量の水を用意するのがおすすめ」
“防災のワザ”に詳しい国崎さんに備えを聞きます。
最初に重要なのが飲料水の確保です。
危機管理アドバイザー 国崎信江さん 「1週間分あると安心。1日=1人3リットルの確保を」
国崎さんが推奨するのは1人あたり、2リットルペットボトル、約11本の備蓄です。
危機管理アドバイザー 国崎信江さん 「ベットの下など、水回り以外のことを考えると、実は収納スペースがあったりする」
この時期は熱中症対策も重要です。
危機管理アドバイザー 国崎信江さん 「棒状のアイスを脇や首筋に当てることで体を冷やすことができる。溶けたら飲料水としても使えるので重宝する」
備蓄の水は飲料が優先。風呂はウェットシートで代用、災害用トイレの準備もおすすめだそう。
さらに、今すぐできる対策も…。
危機管理アドバイザー 国崎信江さん 「きれいな浴槽に水をはっておいて、いざという時に水風呂に入ることで体を冷やす。応急対策になるし生活用水としても使える。身体の衛生を保つことにも使えるので、水をためておく習慣があるといい」