音楽活動をしていた女性がファンに刺されたのは警察の対応に不備があったとして東京都などに損害賠償を求めた裁判で28日、都側などとの和解が成立しました。

 冨田真由さんは2016年5月、出演予定だった東京・小金井市のライブ会場の近くでファンの男に首などを刺され、重傷を負いました。

 男は殺人未遂の罪で懲役14年6カ月の判決が確定しています。

 訴状によりますと、冨田さんは事件前に男からインターネット上で脅迫的な書き込みを繰り返し受けているとして、警視庁武蔵野警察署に相談していました。

 しかし、警察が男に警告せず、事件当日に約束した見回りをしなかったなど警視庁が必要な警備を怠って被害を受けたとして、冨田さんと母親は東京都や男らに対して損害賠償を求めて裁判を起こしていました。

 冨田さんの代理人弁護士は裁判所からの和解勧告を受けて協議した結果、28日に東京都側などと和解が成立したと明らかにしました。

 冨田さんは会見で「警視庁は同じ事件を繰り返さないために被害者の声に真摯に耳を傾けること、対応を強化することを約束しました。この点について、しっかり約束されたことにはホッとしています」「ストーカーに対する知識のない警察官が対応にあたること、相談に対応する担当者によって受け止め方や結果が変わってしまうことは問題だと思います」とコメントしました。

 警視庁は和解の成立について「警察で事前に相談を受けながら被害防止できなかったことを重く受け止め、同種事案の再発防止に向け、引き続き組織一丸となって取り組んで参ります」とコメントしています。

 一方、男に対して東京地裁は7600万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。