宮城県気仙沼市の公共事業をめぐり市職員の男と業者の男が逮捕されてから、28日で1週間です。
気仙沼市土木課の道路整備係長、後藤文治容疑者(47)。
東京に本社のある建設コンサルタント会社の東北支店長、清水康弘容疑者(51)。
警察によりますと、後藤容疑者は2023年7月、市道の設計業務をめぐる入札で、公表されていない「設計価格」をコンサル会社の清水容疑者に漏らした疑いが持たれています。
2012年に気仙沼市役所に入庁した後藤容疑者と、震災をきっかけに東北支店配属となった清水容疑者。
2人は復興事業に関わる中で知り合い、関係を深めたとみられています。
入札は、上限となる「予定価格」と、下限となる「最低制限価格」に収まる範囲で最も低い金額を提示した業者が落札する仕組みで、気仙沼市ではそれぞれの価格を事前に公表していません。
そして、この2つの価格の元となるのが「設計価格」です。
この「設計価格」は担当課が事前に費用を積算したもので、それを決定する立場だったのが後藤容疑者でした。
談合が起きる背景を、入札や談合に詳しい、京都大学大学院経済学研究科の中林純教授に聞きました。
京都大学大学院 中林純教授「もちろん業者も競争しなくて済むならその方が嬉しいですし、行政側も競争入札を下手にやるよりも談合してもらって、受注する業者が事前に決まっていた方が、仕事が少なく済んだりする場合もある」
しかし、参加業者同士の公平性を欠く、税金の無駄遣いやサービスの質の低下に繋がるなどの理由で、法律で禁止されています。
宮城県内では、石巻市や白石市など、ここ数年相次いで談合が発覚しています。
中林教授は、市民の目からチェックできるよう、行政は全ての入札結果を公表すべきだと話します。
京都大学大学院 中林純教授「公衆の目にさらすことによって、みんなで監視して確認できるような状態にしておくことが、公的なお金の使い方、お金の使い道がどのように行われたのかを証明するのに有効な方法だと思う」