北海道の羅臼岳で男性がヒグマに襲われて行方不明となっていますが、遺体はヒグマを駆除した現場の近くで見つかったことが分かりました。
世界有数のヒグマの生息地として知られる知床半島。その中央に位置する羅臼岳で14日、20代の男性がクマに襲われました。
警察やハンターら18人態勢で、捜索は15日午前5時半から再開されました。
男性が襲われた羅臼岳の登山道にあるオホーツク展望と呼ばれる場所の映像。
クマに襲われた男性は登山道から林の中に引きずり込まれ、行方が分からなくなっています。
警察によりますと、午後1時ごろ、男性が襲われた現場近くでヒグマ3頭を発見。親グマ1頭と子グマ2頭がハンターによって駆除されたということです。
現在、男性を襲った個体かどうか調べています。
10日に羅臼岳の登山道で撮影されたヒグマの親子の映像。駆除されたのがこの3頭かどうか分かりませんが、撮影者に向かって近付いてきたということです。
これまでに男性のものとみられる紺色のシャツ、破れたズボン、腕時計、キャップ、催涙スプレー、さらに男性名義のクレジットカードが入った財布などが見つかったということです。
クマの生態に詳しい北海道大学大学院 下鶴倫人准教授 「世界的に見てもヒグマの生息密度が高い地域ではあるので、ヒグマに遭遇する機会は他の山に比べると高いと言える。恐らく300頭前後のクマが生息している状況にあったと」
地元の人は羅臼岳のクマについて、こう話します。
地元の人 「昔は人間を見ると逃げていた。今、寄ってきますから、慣れすぎて。慣れすぎるってことは、いずれ事故があるんじゃないかと」
標高1661メートル。登山口から約3、40分登った場所に男性が襲われたオホーツク展望はあります。
12日午前8時半ごろにも登山者がヒグマと遭遇する事案が発生。場所は弥三吉水と銀冷水間の登山道で、クマ撃退スプレーを噴射したものの、その後も数分間にわたってヒグマに付きまとわれたということです。
羅臼岳のヒグマは他の地域のヒグマと少し違う特徴があると専門家は話します。
クマの生態に詳しい北海道大学大学院 下鶴倫人准教授 「知床国立公園内に住むクマというのは比較的、日中の活動性が高くて、つまり朝方から夕方まで比較的どの時間帯も活動している傾向にありました。その点、他の地域のヒグマとは少し違う状況にあると思います」
斜里町によりますと、15日午後に羅臼岳で遺体を発見。ヘリコプターなどで病院に搬送された後、死亡が確認されました。
警察は遺体がクマに襲われて行方不明となっている20代の男性の可能性があるとみて身元の確認を進めています。