21日に鹿児島に上陸した台風12号。鹿児島県では22日の昼すぎにかけて線状降水帯が発生する恐れがあり、厳重な警戒が必要です。

■“ノロノロ台風”鹿児島上陸

 鹿児島市内の高速道路です。雨がどんどん強くなってきました。視界が悪く、前を走る車も確認しづらい状況です。

 トンネルを抜けると、道路が冠水してしまっています。お店の前まで水が浸ってしまっています。

 自動販売機の周りには大量の雨水が。さらに進むと道路一面が冠水していました。

 一方、市街地の駅前では、横殴りの雨。傘はまともに差せません。そして、雷も発生しました。

 21日、鹿児島市では非常に激しい雨が降り、24時間雨量188.5ミリを観測しました。

 21日午前9時、九州の西の海上で発生した台風12号は、活発な雨雲を伴いながらゆっくりと東へ移動。気象庁は奄美地方を除く鹿児島県に線状降水帯の予測情報を発表。午後5時すぎに、日置市付近に上陸しました。

 鹿児島県内では一時、日置市など合わせて9つの自治体に避難指示が出ました。

■道路冠水…店の目の前に水が

 強風のためか、折れている工場のダクト。

 21日、1時間におよそ120ミリもの猛烈な雨が降ったとみられる、いちき串木野市。記録的短時間大雨情報が発表され、安全の確保が呼び掛けられました。

海鮮まぐろ家 諏訪田克浩支配人 「びっくりするような雨の降り方をした。熱帯低気圧だったので、備えが甘かったというか」

 台風は午後5時すぎに日置市付近に上陸しました。

 鹿児島市内を流れる和田川を映したカメラには、急激に増水する様子が記録されていました。

 和田川付近を、車で通りがかった人は…。

「やばい。どうしよう。すごい、こんなの…」

 川からあふれ出た水が、車の前に流れ込みます。

 21日夕方の鹿児島市内。道路が冠水し、バイクを押して歩く人も。水の高さは、対向車のフロントライトまで達しています。

 鹿児島市内で暮らす男性は、次のように話しました。

撮影者 ながおささん 「交差点を原付で通りかかると冠水している状態で。(バイクで)水を押しのけながら進む感じ。すごく抵抗を感じながら進む感じ。怖かった」

 男性はバイクから降りて歩きましたが、歩道でも10センチ以上冠水していたそうです。

ながおささん 「レインシューズを履いていた。くるぶしより上まで水がきていた。(鹿児島市に)住み始めて3年目ぐらい。ここまでの(冠水は)初めて」

 鹿児島市内の自動車販売店では、1階のドアを開けると、水がすぐそこまで迫ってきています。

ホンダドリーム鹿児島 小平田宗一郎さん 「お盆の時と言いますか、あの時に水害というかそういうのがあった。土も乾いてない上から、今こういう状況で雨風が吹いていますから。土砂災害とかあしたの朝がどうなっているのかはすごく心配」

 枕崎市の海岸沿いにあるホテルに設置されたカメラです。台風が上陸した21日午後5時すぎ。暴風であおられ、ヤシの木が激しく揺れています。

 枕崎市では、21日午後5時20分までの3時間で120.5ミリと8月としては観測史上最大の雨を観測しています。

■住民「急に台風発生」「もう動けない」

 降り始めからの雨量が250ミリを記録した南さつま市。市内の民宿に設置されたカメラの映像では、激しい風が画面を小刻みに揺らし、波が吹き上がって雨とともに陸地に打ち付けられています。

民宿がんじん荘 「急な台風発生だった。普通の低気圧の前線通過ぐらいにしか思っていなかった。結構ひどくなってきて。まさしく今は台風の状況。岬とか船とかいつもは見えるが、今はそれが見えない状態」

 夏休み中で書き入れ時の民宿営業にも影響が出ています。

民宿がんじん荘 「きょうの客はキャンセルでした。けさキャンセルがきた。(雨風が)強くなったら動けないので。もう全く動けない。どうしようもない」

 一方、南さつま市の海沿いで飲食店を経営している男性は、こう話しました。

飲食店の店主 「台風の準備とか養生とかしていたというような状況。(すると)隣の家の方がドンドンドーンと扉をたたいてくれて、危ないよと。道路が冠水しているし、もう水があふれてくるから。そのお隣の家の人とかも、もう早く逃げた方がいいよって言われて。率直にめちゃくちゃ怖かったですね」

 その後、男性は冠水を避けて、安全な場所に避難したということです。

■観光客「予定がめちゃくちゃ」

 この台風の影響で、21日に鹿児島空港を発着する一部の便が欠航。影響は22日も続く可能性があります。

 また、その他の交通機関でも、九州新幹線は鹿児島中央と熊本の間で一時運転を見合わせました。

 東京から旅行に来ていた大学生は、次のように話しました。

東京からの観光客 「(Q.想定外だった?)そうです、そう」 「本当は桜島に行きたかったけど」 「台風が発達しなかったと最初聞いてたので。飛行機が着いてから(台風が発達したと)知って。観光の内容がめちゃくちゃになった」

 なぜ急に台風が発生したのでしょうか?4日前からの雲の様子を捉えた衛星画像。台風12号のもととなった熱帯低気圧は、いったん、台風に発達しないと発表されましたが一転。急速に成長し、九州付近で雨雲がまとまり、21日に台風となりました。

 鹿児島県内は2週間ほど前にも線状降水帯が発生。姶良市周辺では、平年の8月、ひと月分の2倍以上の雨量を観測していました。

 市内の川は崩壊した護岸の修復工事の真っ最中です。応急処置は間に合いましたが。

 3メートル近くある看板は、前回の大雨の際に倒れてしまったものだということです。こういったものがまだ復旧しきっていないなか、激しい雨が降っている状況です。現場は工事をいったん中断している様子です。

 河川の増水で水道の送水管などが壊れて、市内では断水も発生し、3日前、すべてが解消したばかりです。

(「羽鳥慎一 モーニングショー」2025年8月22日放送分より)