宮城県南三陸町で、かつては水揚げがほとんど無かったイセエビの豊漁が続き、港が活気づいています。町では、特産にしたいという声も出ていますが、課題もあります。
今週月曜日の志津川魚市場。海から戻った漁師が次々とかごに移し替えているものは、本来は、三重など南の海にいるイセエビです。 南三陸町の海では、数年前からイセエビの姿がよく見られるようになりました。
特に今年度は豊漁で、4月以降に水揚げされたイセエビは約640キロ。既に、昨年度1年間の水揚げ量の3倍以上となっています。
【漁師】
「(イセエビ漁は)今年良い。ずいぶん大きくなった」
【別の漁師】
「2、3年前にタコかごに入り始めて、最近それが大きくなった。ボーナス程度(の稼ぎ)になれば」
地元の漁協も、イセエビ漁に期待を寄せます。
【県漁協志津川支所 高橋義明課長】
「今になって毎日水揚げとなっている。
ミズダコやマダコに次いで、イセエビもこれから資源が増えて、町の特産になっていければ良い」
南三陸町の海を観察してきた専門家は、海水温の上昇でイセエビが生息しやすい環境になったと話します。
【南三陸町自然環境活用センター 及川浩人主任】
「震災前から夏場に(イセエビが)確認はされていたが、いままでは冬になると死滅していた。近年冬場が高水温で、10度を下回らないような海域になってきたので、越冬するようになった」
観光客も多く訪れる、南三陸町のさんさん商店街。
その商店街にある鮮魚店でも、去年の夏からイセエビを扱うようになりました。
「お造り」は大きさなどにもよりますが、一尾2000円から4000円ほどで販売され、人気を集めています。
【記者】
「Q南三陸で何でイセエビと驚く人もいるのでは」
【マルセン食品 高橋大地さん】
「けっこういますね。ここ(南三陸)にもあがるんだと。気になるお客さんがたくさんいて、それで気になって食べてみようというお客さんが多数います」
町の特産品として売り出すことも期待されるイセエビですが、課題もあります。
宮城県ではイセエビについて「捕獲しても良い大きさなど」資源管理についてのルールが無いのです。
【南三陸町自然環境活用センター 及川浩人主任】
「イセエビは1キロの重さになるのに5年も6年もかかる。その前の段階の2年、3年ものをすべてとってしまうと、1キロになるまでのものが無くなってしまう。我慢して大きいものだけを獲るという規制が必要なのではないか」
センターではイセエビの資源管理のルールづくりに向け来月、南三陸町の海域に潜って生息数などを調べることにしています。