台湾有事に関する高市総理の発言で日中関係が冷え込み、中国人宿泊客の予約キャンセルなどが報じられています。宮城県の状況と今後の見通しについて、専門家に聞きました。
中国が激しく反発しているのは、11月7日の高市総理の「台湾有事は存立危機事態になりえる」という国会答弁です。台湾有事が起きた際、政府が存立危機事態に当たると認定すれば自衛隊が武力行使に踏み切る可能性を示しました。
この発言を中国側は「内政干渉だ」と厳しく非難。中国外務省が金杉憲治駐中国大使を呼び出して強く抗議しました。
中国外務省は発言から1週間後、日本への渡航自粛を中国国民に呼び掛けました。
このため大阪のホテルで中国人宿泊客のキャンセルが相次ぐなど、観光への打撃が出ているということです。
一方、宮城県によりますと宿泊キャンセルなどの動きは出ていません。仙台空港から上海や香港の空港を結ぶ空の便も、減便や乗客数の減少といった目立った影響は無いということです。
ただし、関係悪化が長期化した場合、宮城県経済へのダメージも発生しかねないと七十七リサーチ&コンサルティングの田口庸友首席エコノミストは指摘します。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「1位の台湾は半数近くを占めて圧倒的ですが、それに次ぐインバウンドのお得意先ということがありますので、これが失われることの影響ということはインパクトとして大きいのではないかと」
宮城県では、これからの冬場がインバウンド需要の最盛期で中国人観光客が遠のくと、25億円もの経済損失が発生するということです。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「前年の半分程度で推移したと仮定すると、大体3万6000人泊の需要が蒸発してしまうということで、インバウンドの消費は単価7万円ぐらいとみられていますので、大体25億円ぐらいの需要が消えてしまうということになってしまいます」
トランプ関税の導入もあり、アメリカと中国の2大大国に経済が振り回されたと話す田口さんは、事業者に他の国や地域にも目を向けることを勧めます。
七十七リサーチ&コンサルティング田口庸友首席エコノミスト「もちろんアメリカ、中国というのは無視できないマーケットだという一方で、例えば中国以外のアジア、東南アジアやインド、場合によってはアフリカといったブルーオーシャンを求めて、次の10年の戦略を考えていくといったような経営も求められてくるのではないかと思います」