消費生活センターに多くの相談が寄せられているのが「給湯器の無料点検」を巡るトラブルです。高齢者が狙われるケースが相次いでいます。

■悪質点検商法 高齢者注意

 「給湯器の無料点検」、この言葉に注意が必要です。

業者 「早速、給湯器を見せていただきたいんですが」 高齢女性の息子 「無料点検の方?」 業者 「無料点検です」

 これは「点検商法」とみられる実際の音声です。

業者 「今、調べたらMAX218という数字が出ました。安全基準が50なので4倍くらい」 高齢女性の息子 「まずいの?」

 無料点検などを口実に不安をあおることで高額な給湯器の交換を迫る点検商法。

 今、高齢者を中心にその相談件数が急増しています。

 給湯器の点検商法にどう対策すればいいのか…。

専門業者 「高額な見積もりで交換する業者が結構、増えているということは業界内でも最近よく聞きます。まず『点検をする』という時点で疑った方がいい」

 プロが教える対策、3つのポイントを紹介します。

■相談件数急増 対象の変化も背景に

 東京・飯田橋にある消費生活総合センター。今、急増している相談内容が…。

相談員 「給湯器は外にある?どこにあるんですか?交換しなきゃいけないと言われて、しょうがない交換しましょうか…と。(給湯器が)止まったら困ると」

 電話や訪問勧誘などで不安をあおり、給湯器の高額な契約や交換を迫る点検商法です。

相談員 「契約された?きのう?38万6800円?」

 相談をしてきたのは夫婦で集合住宅に住む80代の高齢男性。

相談員 「こちら訪問販売の場合、クーリングオフ(契約解除)が可能」

 ガスや給湯器の点検商法の相談件数は、ここ数年で劇的に増大。2020年からの4年間で約38倍にもなります。

東京都消費生活総合センター 相談課 高村淳子課長 「相当、増えている。60歳以上の相談が8割を超える、高齢者が狙われている手口」

 増加の背景にあるのは“対象の変化”。以前、点検商法で多数を占めていたのは一軒家の屋根の修理を口実とした手口です。それが給湯器へと変わることで、集合住宅に住む人もターゲットになっていると分析しています。

東京都消費生活総合センター 相談課 高村淳子課長 「1件あたりの金額は屋根の修理より低いが、対象者が増えた分だけ被害数が多くなっている」

 なぜ、必要のない給湯器の交換に応じてしまうのか。

業者 「早速、給湯器を見せていただきたいんですが」

 高齢女性宅に点検商法とみられる訪問があった時の音声。立ち会った息子が一部始終を録音していました。

高齢女性の息子 「それは何を測っている?」 業者 「一酸化炭素の濃度です。安全基準があり、50以下で使うことが推奨されている。今、調べたらMAX218という数字が出ました。安全基準が50なので4倍くらい」 高齢女性の息子 「まずいの?」

 その後、不信感を覚え、別のガス機器メーカーに測り直してもらったところ、一酸化炭素は全く漏れておらず、指摘された基準値は存在しないことが分かりました。

 首都圏や関西を中心に給湯器の取り換え工事を行う専門業者。

給湯119番 大庭久征社長 「12万円から15万円、それくらいが相場になります。お客様から聞いた話ですと(点検商法の場合)40万以上で契約される、大体3倍ぐらいの金額」

■業者が教える「3つの対策」

 では、どう対策すべきなのか。3つのポイントに注意が必要だと指摘します。

 まず、大前提として…。

給湯119番 大庭久征社長 「名刺の住所が実在しているのか、会社のHPがあるかを調べる必要がある」

 もし訪問を受けてしまった場合には、いったん冷静に立ち止まることが必要です。

給湯119番 大庭久征社長 「その日にその場で契約書を交わして、工事も一日でも早くやろうとするのが特徴的」

 また、給湯器交換の目安は約10年。それを基準に判断すべきだといいます。

給湯119番 大庭久征社長 「悪党業者というのは5、6年とか、まだ新しい給湯器なのに交換を促す。そういったところを気を付ける」

 訪問販売などの場合、契約した日から8日以内であれば契約を解除することも可能です。