自民党と日本維新の会は17日、2回目の連立協議を行いました。維新の藤田文武共同代表は「大きく前進した」と話し、自民は維新が求める国会議員の定数削減に応じる方針であることが分かりました。

■「維新側に姿勢を見せる必要ある」

 連立か否か。協議の結果は上々のようです。

自民党 小林鷹之政調会長 「すべての項目・論点につきまして、日本維新の会の意見・考え方は真摯に受け止めたつもり」

藤田共同代表 「結論としては、今回の協議については大きく前進したものと両者で受け止めている」

 17日に行われた自民・維新の2回目の政策協議。1回目の協議では、日本維新の会が要求した12の項目のうち「企業・団体献金の廃止」「食料品の消費税率2年間ゼロ」の2項目の折り合いがつかず、さらに維新の吉村洋文代表は、議員定数を削減する法案を来週の臨時国会に提出することを絶対条件として追加しました。

吉村代表 「改革のセンターピンは国会議員の定数の大幅削減。口だけでなく高市新総裁のもとでやっていただけるかどうか」

 高いハードルを設定されたかに見えましたが、協議後の会見では両党ともに話し合いが大きく前進したと強調。

藤田共同代表 「すべての項目において、文言もそうだし、最終の解釈、記述等も含めて最終の調整・詰めを行っていくというかたちで前進」 「(Q.大筋合意か?)『大筋合意へ』と書きたいという意味ですか?まだいくつか整理しないといけないことがある」

 維新が絶対条件とする「議員定数削減」には、自民党内から「2党だけで決められる話ではない」と慎重な声も出ています。

 それでも高市総裁の周辺は「維新側に姿勢を見せる必要がある」として削減を受け入れる方針であることが17日夜に分かりました。

 この「議員定数削減」という条件に対し、国民民主党・玉木雄一郎代表は政治とカネの問題が置き去りになると懸念を示しました。

玉木代表 「これを掲げたからと言って、政治とカネの問題が交渉の中で軽視されることがあっては、政権の延命に手を貸す批判も免れない」

 そして、公明党も“論点外し”だと批判します。

公明党 斉藤鉄夫代表 「企業団体献金は政治とカネに関して国民の不信の根底にある制度。それをおいて定数削減が前面に出てきた、これは私ども理解できません。全く別の問題です。企業団体献金の協議が進まないから、定数削減の話に持っていくのは(論点の)すり替えであると」

 というのも、これまで維新は声高に自民党の政治とカネの問題を糾弾し続けてきたからです。

日本維新の会 馬場伸幸代表(当時) 「自民党は政治とカネの問題、自ら起こした問題にもかかわらず、全然反省してません。全然改革しようと思っていません」

 去年の衆議院選挙後の総理指名選挙で、当時幹事長だった藤田共同代表は次のように話していました。

藤田幹事長(当時) 「政治とカネの問題に決着をつける大きなアジェンダ(議題)。もう一つは国民の負担をこれ以上増やさない。現役世代に徹底投資する。そのためには改革が必要。そこについては自民公明政権と相当違う考えだと表明して戦ってきた。自民党に何かくみして条件闘争をこちらからやることは一切ありえないと思っている。首班(総理)指名についても対応は全くできるものではない」

 “政治とカネの問題に決着をつけない限り、自民党にくみすることはできない”と話していました。違和感を覚えるのは、維新の支援者も同じです。

維新・杉本和巳後援会 戸松邦夫後援会長 「大阪以外の維新の人から見ると『そんなことで応援したのではない』という声がはっきり言って、強くある」

 日本維新の会・杉本和巳衆院議員の後援会長を務める戸松さん。自民党との連立には反対だと話します。

戸松後援会長 「仮に今回、総理指名に高市氏と書いたとしても、閣外で一つひとつの法案に対して否は否、是は是と持っていった方がいい。今まで維新を応援した人の賛同が得られない気がする」

■維新が野党一本化の協議の離脱を宣言

 異論は自民党内からも噴出します。

自民党 逢沢一郎選挙制度調査会長 SNSから 「自民・維新でいきなり定数削減は論外です」

 また、「議員定数削減」を条件とすること自体に疑問を呈する声もあります。

岩屋毅外務大臣 「彼らの改革の一丁目一番地は企業団体献金の禁止・廃止ではなかったか。違和感は事実」

 それでも連立与党の枠組みは、まとまりつつあります。維新は立憲民主党と国民民主党に、野党一本化の協議からの離脱を宣言。野党とは連携も協議も行わない方針を明かしました。

 これにより、立憲は総理指名選挙で野田佳彦代表に投票する方向となり、自民党の高市総裁を上回ることはなくなる方向です。

 テレビ朝日の番組に出演した野田代表は、自民党に急接近する維新に釘を刺しました。

野田代表 「物価高・補正予算、色んなテーマがある、暫定税率の問題がある。(臨時国会の)58日間で“えいや”で数十の議員定数を削減できるわけがない。『それやりましょう』と自民党が言ったらそれは絶対嘘だと思う。だまされちゃいけない」

 協議を重ねてきた国民民主も次のように話します。

国民民主党 榛葉賀津也幹事長 「協議体を作り前向きに協議というのはどっかで聞いた話。3党幹事長会談で、幹事長が約束をしても履行しなかった。これはよくよく維新さん、よほどの担保がないと、はしご外される可能性」

 総理指名選挙は21日に行う方針です。

(「グッド!モーニング」2025年10月18日放送分より)