EU(ヨーロッパ連合)はロシア人に対してマルチビザの発給を停止すると発表しました。

 EUは7日、これまでロシア人から申請を受け付けていたEU圏へ複数回の入域が可能になるマルチビザの発給を停止すると発表しました。

 今後、ロシア人はEU圏への渡航を計画するたびにビザを申請することになります。

 EUはロシアからの入国者による破壊活動やビザの不正使用などリスクが増大していると主張。申請者を頻繁に審査することで安全リスクを軽減するとしています。

 EUはこれまでにも2022年に簡易ビザのロシア人への発給を停止。申請から発給まで1カ月以上かかるようにするなど厳格化しています。

 また、ビザ代は侵攻前は35ユーロでしたが、昨年には90ユーロまで引き上げました。

 一方、在ロシア日本大使館は日本へのロシア人観光客が急増しているため、モスクワとサンクトペテルブルクに「ビザセンター」を設置する準備を進めています。

 手続きをロシアの業者に委託するもので、大使館は「ビザ業務の効率化と混雑緩和のためだ」と説明しています。

 「審査は大使館が厳格に行う」としています。

 ただ、安全保障上の懸念もあります。23年ごろまでは、ロシアに向けて出国する際は日本人やロシア人を問わず日本の税関職員は精密機器など制裁違反にあたる品が持ち出されないか、所持金や荷物の中身をくまなく検査していました。

 しかし、夏に日本に旅行した30代のロシア人女性によりますと、日本の出国時に税関職員からは所持金についての簡単な聞き取りのみで、荷物の中身などは検査されなかったということです。