旧統一教会への献金を巡り、「返還請求をしない」との念書を署名した元信者の遺族が賠償を求めた裁判の差し戻し審で、東京高裁は教団側に6400万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。

 旧統一教会の信者だった女性の遺族は、女性が1億円以上の献金をした後に「返還請求などをしない」として作成させられた「念書」は無効だとして、教団側に賠償を求めています。

 1審と2審は念書の有効性を認めて訴えを退けていましたが、最高裁は去年、念書は公序良俗に反し無効と判断したうえで、教団による勧誘の違法性についても「多角的な検討をすることが求められる」などとして審理を東京高裁に差し戻しました。

 東京高裁は今月18日の判決で、女性が加齢によって判断力が低下していたなかで勧誘が行われ、献金を継続したことにより知人から借金をしていたことなどを踏まえ、「総合的に考慮すると勧誘の在り方として社会通念上相当な範囲を逸脱すると認められる」と指摘しました。

 そのうえで、勧誘の違法性を認め、教団側に6480万円の賠償を命じました。

 判決後の会見で遺族は「直前までどんな判決が出るか分からない緊張感があったので、ほっとしました」と話しました。

 教団側は「判決の内容を精査して今後の対応を検討します」としています。