また「ご当地ブランド」を悪用した偽広告の被害です。標的となったのは1200年の歴史を誇る老舗ブランドのかばんでした。伝統を守る職人は怒り心頭です。

■老舗カバン“ニセ広告”被害

偽広告とされる動画 「工場閉鎖、最終処分。職人の給料支払いのための涙の赤字覚悟セール。本日、全在庫放出」

 「在庫放出」と商品を放り投げる広告だけではありません。

偽広告とされる動画 「大変申し訳ございませんが、日本かばんの聖地、兵庫県豊岡市原産のボックスタイプ大容量バックパックの生産を永久に終了致します」

 勝手に「生産終了宣言」も飛び出します。

■日本語“不可解”言い回しも

 まくし立てるようなインターネット広告の音声。繰り返し聞いてみると、日本語のようで、日本語にはない言い回しの数々を見つけることができます。

偽広告とされる動画 「大変申し訳ございません。本日、通運の発表をさせていただきます」 「ご存じの通り、兵庫県豊岡市は1200年の歴史を持つかばんづかりの聖地」 「私たちは中間利益をすべて削り、原価割れの涙の時給セールを断行します」

 「痛恨の発表」は「通運?の発表」に。「かばん作り」は恐ろしい、「かばんづかり?」に。「時給?セール」なる言葉も飛び出すなど、実に不可解な日本語の世界が広がっています。

 日本有数のご当地ブランド「豊岡鞄」が偽物の被害に遭っていました。

■製造会社「本当に腹立たしい」

コニー 西田正樹社長 「全くの嘘ですね。本当に腹立たしい」

 偽広告に怒りをにじませるのは兵庫県豊岡市で本物の「豊岡鞄」を作っている会社の西田社長です。

コニー 西田正樹社長 「ホームページとかサイトを見ると、中国の偽サイトみたい。“作り方”とかちょっと日本語がおかしかったり」

 偽広告の標的となったのは古くからかばんの産地として知られている豊岡市。その歴史は1200年前、柳で編んだ「柳行李」が起源とされています。

 地元の職人たちがその手で紡いできたものづくりの歴史が偽広告によって今、傷付けられていました。

偽広告とされる動画から 「頑丈に作りすぎ、8年使っても糸一本ほつれない驚異的な耐久性のせいで、買い替え需要がなくなった。会社は深刻な経営危機。最後に職人への給料を全額支払うため、原価割れの涙の時給セールを断行」

 かばんの頑丈な作りによって逆に経営が苦しくなったため、セールを行っているというのが偽広告のうたい文句です。

コニー 西田正樹社長 「『倒産の危機だからセール』、何を言っているんだろう…。豊岡鞄はセールしませんから」

 本物の豊岡鞄ブランドを支えているのは厳しい品質基準です。

 豊岡鞄を名乗ることを許されるのは兵庫県鞄工業組合が定めた基準を満たす企業によって作られ、品質を守る審査に合格した製品だけ。こうした偽広告のかばんは当然ながら豊岡鞄ではありません。

コニー 西田正樹社長 「広告で見た商品と違うけど、もう買ったししょうがないなと使う人もいるかもしれない。豊岡鞄と思い続けて。すごく腹が立つ、違和感。そんなんじゃないんですよ、豊岡鞄はって言いたい」

 本物の豊岡鞄を販売する店も偽広告による被害に苦しんでいました。

豊岡まちづくり 天野実さん 「(偽)広告自体が海外の会社で電話窓口がないので、うちに連絡がくる」

 偽物を買った消費者から「いつ届くのか」などの問い合わせの電話がここ3カ月で急増しているそう。実際に届いたメールを見せてもらいました。

実際に届いたメール 「豊岡ブランドを騙ってネット販売する中国企業が横行しています。私も2個契約しましたが、受領時“made in china”であることが判明しましたので、即返品しました」

 この広告を出したのが中国企業かどうかは分かりませんが、投稿者の情報には中国・河南省の住所が表示されています。

■本物とニセモノ 見分け方は?

 偽物を買わないためにはどんなことに注意すればよいのでしょうか。

豊岡まちづくり 天野実さん 「豊岡鞄のブランド製品については必ずかばんの中に保証書が入っている。ロゴマークが入った保証書が必ずついている」

 さらに、この広告が発するメッセージ自体が豊岡鞄としては考えられないものだといいます。

豊岡まちづくり 天野実さん 「豊岡鞄の認定製品は販売価格を大幅に値下げしたり、『今しか買えない』とか、そういった類の過度な広告の表現は基本的には行わないので慎重に対応してほしい」