2月に結婚式を挙げた1組の夫婦。実はこの結婚式を企画・運営したのは、仙台市内のブライダル専門学校で学ぶ学生たちです。新型コロナウイルスに翻弄されながらも、2年間の集大成にかける学生たちの思いに迫りました。

 宮城野区にある結婚式場。この日、3日後に予定されている式に向け、リハーサルが行われていました。黒のスーツに身を包んだスタッフたち。全員、ブライダルの専門学校で学ぶ2年生です。

 仙台ウェディング&ブライダル専門学校。授業で身に着けた知識と技術を生かし、より実践的な力を養うため2012年の開校以来行われているのが、本物の結婚式を企画・運営する「ウェディングプロデュース」です。新郎新婦を一般から募集し、プランニングから、司会、音響、照明、ヘアメイクまで、全てを学生たちが担当。会場費のほか演出や装飾にかかる費用は学校が負担するため、一般的な結婚式と比べて割安で挙げられます。

プランニング、司会、音響、照明、ヘアメイクまで学生が手掛ける

 当日の会場責任者であるキャプテンを務めるのは外久保遥香さんです。29人の同級生と共に、約4カ月かけて準備を進めてきました。
 キャプテン・外久保遥香さん「不安なことだらけなんですけど、やるしかないなって感じです」

 学生たちは、本来なら入学後すぐに始まるブライダル企業でのインターンが、新型コロナの影響で半年ほど遅れたことに加え、結婚式の件数が減ったことで、現場での経験を思うように積めませんでした。
 キャプテン・外久保遥香さん「一生に1回しかない結婚式を学生に任せるって、すごく勇気がいることだと思うんですけど、その気持ちを残念な気持ちにはしたくないので、プロと同じ気持ちでそこにプラス学生らしさっていう私たちの明るい雰囲気で、お二人の結婚式を作っていきたいと思っています」

専門学生が入念なリハーサル

 そして迎えた、式当日。午前7時半。2020年11月に結婚した岡田孝一朗さんと紗里奈さん。専門学校で働く孝一朗さんの友人の勧めで、今回の式を決めました。
  新郎・岡田孝一朗さん「生徒さんにやってもらえるっていうのが、新鮮かなっていうところもあったので」

 午前11時。挙式が始まりました。挙式は無事終了。続いて、披露宴です。
 キャプテン・外久保遥香さん「ここからのご披露宴は、少し肩の力を抜いてリラックスしていただいて大丈夫です。一度、深呼吸しましょうか、はい、ありがとうございます」
 キャプテンの外久保さんは、緊張している新郎新婦に直前まで笑顔で声を掛けます。そして。
 司会「新郎新婦ご入場です。皆様、大きな拍手でお迎えください」
 披露宴がスタート。披露宴では出席者の人数を制限したほか、お色直しを省いて時間を30分短縮するなど感染症対策を講じました。学生たちはそれぞれの役割を順調にこなしていきます。その頃、バックヤードでは。
 「やばいやばいやばい、待って待って待って」
 ウェディングケーキを運ぶのに大苦戦。エレベーターに乗せるのも一苦労です。
 「いってらっしゃい」「いってきま~す」

学生らしく明るい雰囲気で笑顔の絶えない披露宴を演出

 一方、会場では。笑顔の絶えない式にしたいという2人の思いを形にしようと、学生たちは明るく楽しい雰囲気をつくっていきます。
 キャプテン・外久保遥香さん「ここからデザート出してケーキ出してってやってたら、多分10分くらいかかるんですよ。だからこれ終わったら(新郎新婦)すぐトイレ行って(行かせて)」

結婚式を円滑に運営

 キャプテンの外久保さんは、式が円滑に進むよう全体を見て進行の確認や時間の管理をしなければなりません。状況に応じてみんなに指示を出したり料理を出すタイミングを調整したりと、最後まで気が抜けません。そして、披露宴はクライマックスへ。
 新婦・岡田紗里奈さん「きょうまでの30年間、ここまで育ててくれて本当にありがとう。2人がずっと支えてくれたから、きょうこの日を迎えることができました」

 キャプテン・外久保遥香さん「これからのお二人の人生が明るく照らされてくれたら良いなっていう気持ちで、きょうまでみんなで頑張ってきました。初めて担当できたお客さまが本当にお二人で良かったなって心の底から思います。きょうまで本当にありがとうございました」
 新婦・岡田紗里奈さん「本当にみんなにお願いしてすごい良かったなって感じてます。本当にみんな熱心に一人ひとり頑張って、私たちのことを思って頑張ってくれてすごい良い結婚式になりました」