旧優生保護法に基づく不妊手術をめぐる仙台高裁での裁判で、原告側は損害賠償の請求権が消滅する除斥期間を適用せず、被害者を救済すべきと改めて求めました。

 この裁判は、宮城県内の60代と70代の女性の2人が、旧優生保護法の下で不妊手術を強制され人権を侵害されたうえ、国が救済のための法律を作らなかったとして、国に対して合わせて7150万円の損害賠償を求めているものです。

 仙台地裁は、2019年5月に旧優生保護法の違法性を認めつつ、20年を過ぎると損害賠償を求める権利が消える除斥期間の規定を適用して女性側の訴えを退けたため、原告側が控訴し、仙台高裁での裁判が続いています。

 仙台高裁で開かれた1日の裁判で、原告側の弁護士は「除斥を認めることは著しく正義・公正に反する」などとして、原告の訴えを認めた2月の大阪高裁判決について「優生手術の被害者の目線に立つ努力をし、救うべき被害者の救済を図った」と評価しました。

 そのうえで「裁判所が国の責任を認めないようであれば、差別や偏見を正当化、固定化、助長すると言っても過言ではない」と指摘し「矜持を持って被害者の救済となる判断を示してほしい」と求めました。

 仙台高裁での次回の口頭弁論は、6月3日に開かれる予定です。