宮城県石巻市の震災遺構・大川小学校で、14日夜、震災で犠牲になった人の冥福を祈るとともに、地区の未来を考える催しが、卒業生らによって開かれました。

 この催しは、大川小学校の卒業生や地区の住民が2月に立ち上げた団体が、初めて開きました。

 準備のため校庭に紙灯篭を並べるのは、震災当時5年生だった只野哲也さんです。

 催しの名前は「おかえりプロジェクト」で、亡くなった人も生きている人も大川に帰って来ますようにという思いが込められています。

 紙灯篭には、只野さんたちが講演などで訪れた、全国の中学校や高校の生徒たちによる追悼のメッセージなどが書かれています。

 只野哲也さん「大川小学校は震災後からの注目が圧倒的に多いので、今はつらい場所とか悲劇の場所と言われますけど、今もこうやってピアノ聞こえていますが、少しでも震災前の大川に近い雰囲気を皆さんに感じてもらえたらいいなと思います」

 只野さんたちは、大川小学校を、地区を離れた住民が再び集まり、地区の未来を考える場にしたいと願っています。

 只野哲也さん「亡くなられた方々への追悼はもちろんのこと、生き延びた子どもたちにも目を向けていただきたいです」

 この日は午後5時半に催しが始まりましたが、突然降り出した雨の影響で、ゆっくりと紙灯篭を囲んで語り合うことはできませんでした。

 それでも、只野さんたちの想いは参加者に届いていました。

 大川小学校卒業生・浮津天音さん(当時6年生)「ちょっと来づらいかなと思った部分もあったんですけど、実際来てみて、少し大川から離れていた人も帰ってきやすい場になっていたなってところが、すごく安心しました」

 只野哲也さん「子どもたちが大川をまた駆け回って、子どもたちの笑い声が響き渡ればいいなって思って、大川小学校を残したいと言ってきていたので、夢にも近いものが現実のものになっているっていうのが、やってきて良かったなと改めて思いました」