出産後のお母さんたちが安心して子育てできるよう、心身ともにサポートする産後ケアについてです。コロナ禍で人とのつながりが希薄になる中、その重要性は高まっています。宮城県内の産後ケアの取り組みを取材しました。

 夫の転勤で2021年10月、神奈川から仙台に引っ越してきた真理子さん(35)。4月に第一子の梨真ちゃんを出産しました。
 真理子さん「ちょっと休みたいなって。やっぱり日々追われるというか、寝てる時間にこれやっとかないとあれやっとかないとって。常に何かに追われてる感じがして」

 初めての育児。真理子さんは、仙台市青葉区に4月にオープンした産後ケアハウス ママん家を利用しています。
 宿泊は産後4カ月、日帰りは産後1年未満のお母さんが、身体と心を休ませながら育児のサポートを受けられる施設です。
 助産師菊地雅子さん「一言で言うとママの心の実家ですね。お母さんたちが産後の疲れとか育児の不安とか、悩みを打ち明けてくれたりとか、気分転換を図れたりとか、気軽に立ち寄れるようなそんな所ですね」

産後ケアハウス ママンん家

 5人いるスタッフは全員、助産師。赤ちゃんの月齢や気質に合わせて、寝かしつけや授乳、もく浴などのアドバイスをしたり、お母さんたちの相談に乗ったりします。
 助産師千坂芳恵さん「お手てにちょんちょんちょん。そうすると自分でこういうふうに(握る)。あ~にぎにぎできた~」

 真理子さんは1泊2日での利用。この日は梨真ちゃんとおもちゃを使って一人遊びの練習です。
 真理子さん「ちょんちょんちょん。あっ握れた!上手上手上手~」
 「なかなか他の子とかも見ることもないし、自分の子どもってどういう特徴があるのかとか分からなかったので、この子を見てもらってこの子ならこうだよってみたいなことを教えてもらって」

母親の食事もサポート

 産後の体力の回復と赤ちゃんの成長のために重要な食事は、栄養バランスを考えて助産師が手作り。お昼のメインはミートソーススパゲティです。
 助産師千坂芳恵さん「麺、皆さんゆっくりとお召し上がりになる時間ってないんですよね。食べようと思ったら赤ちゃんが泣いてしまって、そうするとカップラーメンでも何でも伸び切ってしまう。だから、結構麺なんかはリクエストが多くて」
 育児に追われ、自分の食事は後回しになってしまいがちなお母さんのことを考えたメニューです。

 施設の利用者同士で会話も生まれます。
 真理子さん「4月生まれって一緒なんですよね」
 他の利用者「そうです4月21日」
 真理子さん「えっ私26日です」
 他の利用者「じゃあ近いですね。私が退院した日です」
 コロナ禍で交流の場が失われる中、同じ悩みを持つお母さんたちがつながる貴重な場にもなっています。

母親同士の交流も

 その頃、赤ちゃんは。
 ママん家菊地雅子さん「寝ちゃったね」
 お母さんが落ち着いて食事をとれるよう、助産師が預かってくれます。
 助産師千坂芳恵さん「みんなママさん来た時は、すごく疲れ切っててもうそみたいにしゃっきりとされて帰られる。見ててやっぱりうれしいというかね」
 真理子さん「すごい寝れたんですよ、普段より。普段気を張ってたんだなっていうのが分かりましたね。体も休めて気持ち的にもエネルギーチャージして、またあしたから頑張れるみたいな感じになりました」

 後日、真理子さんの自宅を訪ねると、早速、助産師から教わったことを実践していました。
 真理子さん「ちょっと待っててね~これで遊んでてね~」
 以前は、お母さんから離れるのを嫌がる梨真ちゃんに、絵本を読んで聞かせたり歌を歌ったりと何時間もつきっきりで、家事がままならない日もあったという真理子さん。 
 ママん家で一人で遊ぶことを覚えてからは、気持ちに余裕を持って子どもに接することができるようになりました。
 真理子さん「5分とかでも良いから一人遊びをしてくれるようになると、別の部屋で見ながら、他のことができるようになったので、ちょっと気持ち的にもゆとりができて」

助産師の教えを実践

 不安を抱えるお母さんたちが安心して子育てできるようサポートする産後ケア。東北大学病院精神科の菊地紗耶講師は、コロナ禍でその重要性が高まっていると話します。
 東北大学病院精神科菊地紗耶講師「やっぱり今、通常受けられていたサポートが受けられない、妊婦さん産婦さんがリアルな形でのやりとりってすごく難しくなってきていて、やっぱり安心できる相手と自分が困っていることを相談できる、対面で相談できることの力は大きいんじゃないかなと思います」

 菊地さんの研究グループが出産した1万1000人余りを対象に行った調査では、うつの症状が産後1カ月の時点で13.9%に、産後1年の時点で12.9%に見られました。
 菊地さんは、産後うつは産後1年が経過しても発症するリスクがあるとして、出産直後だけでなくより長期的な視点に立ったケアの必要性を訴えています。
 東北大学病院精神科菊地紗耶講師「お母さんが一人で頑張るっていうのは気持ちの面でも体力的にも限界がありますので、実際に育児をやってくれる、代わってくれるよっていう方もそうですし、その大変さを共有できる、情緒的サポートっていうんですけど、そういうことがあるとかなり産後うつを予防できるかなと思います」