宮城交通と仙台市交通局は、4月から路線バスの運行本数を減らします。私たちの生活にも影響が出る心配がありますが、背景には運転手不足があります。

 通勤や買い物などで多くの人が利用する路線バスは、生活の足として欠かせません。しかし、4月から宮城交通では42路線のうち半数以上で、仙台市営バスも44路線のうち7割で運行本数を減らします。

 1日当たりの減少率は3%余りですが、路線によっては1時間に3本あったバスが2本に減ったり、最終便の時間が早まったりするということです。

 利用客「電車の時間とか合わないので、減便されると困るところはあります」「高齢者にとってはあまり良いことではないんですけど、ただ利用者が少なければ仕方ない」

 減便の理由の1つは、新型コロナで減少した利用客が戻らないことです。

 宮城交通脇田淳営業部長「どうやら我々の見立てでは8割で頭打ちするのではないかと。これ以上戻らない。自転車など新しい交通機関に流れてしまった部分も相当数あるとみている」

 より深刻なのが運転手不足です。特に若い人が、業界に入ってこないということです。 宮城交通脇田淳営業部長「どうしても朝早くから夜遅くまでというイメージが付いていて、若い人たちに敬遠されているのかなとは感じております」

 運転手確保のため宮城交通グループでは2023年、運転手などを養成する研修センターを7億円をかけて整備しました。業界のイメージを変えようと、宿泊室はビジネスホテルのような明るい雰囲気にしました。

 バスの運転手に関心を持ってもらおうと、市民がバスを運転できる体験会を開いています。この日、研修を受けていた女性も体験会に参加したことで運転手になることを決めました。

 研修生の女性「体験会に参加してみて、あ、やりたいと思って今になります。乗って良かったと思っていただける運転手さんになりたいです」

 こうした努力を重ねても現在、グループ全体で30人ほど運転手が足りていません。

 更に追い打ちをかけるのが、運転手の時間外労働が規制される2024年問題です。運転手1人1人の労働時間が短くなれば、運転手の数は更に必要になります。

 宮城交通では待遇改善により運転手を確保したいとしていますが、バス会社だけの努力では限界もあると言います。

 宮城交通脇田淳営業部長「弊社だけでやれる範囲は限られていますので、国や県、市町村とも協議して何とか路線バスを残していきたい」