宮城県の塩釜港で宮城海上保安部の巡視船から重油が流出してから、1カ月が経とうとしています。ワカメなどの生産者だけではなく、水産加工業者などにまで影響が広がっています。

 3月25日、宮城海上保安部の巡視船から燃料の重油が漏れ、周辺の海域ではノリやワカメなどの漁ができなくなりました。

 宮城海上保安部によりますと、塩釜港を中心に約2.7キロの範囲で15キロリットル以上の重油の流出が確認されました。この影響で、塩釜市では養殖のワカメやメカブなど1000トン以上、七ヶ浜町ではノリ2200万枚、3億円以上の被害が出るとみられます。

 補償に向けた計量作業に追われ廃棄を余儀なくされた漁師からは、落胆の声が聞かれました。
 ノリ生産者「売り上げが無くなるので、憤りっていうんですかね。いやもう大打撃ですよね」

 重油が流出した宮城海上保安部の巡視船ざおうは竣工から44年が経っていて、「重油を移送するためのポンプが稼働し続けており、移送先のタンクがあふれ空気抜き管を通じて甲板上から重油が流出した」と説明しています。

 日本郵船や東京海洋大学などで40年以上にわたり船舶の管理に携わってきた釜田和利さんは、10時間以上に及ぶ重油の流出があったのではと推測し、船の老朽化による機器の不具合や定期巡回での見落としの可能性を指摘しています。
 三村小松法律事務所釜田和利技術顧問「ほぼ燃料移送先の燃料サービスタンクと同じ位の量が出てしまったという感じ。10時間とか漏えいが続いていたんじゃないかと。あくまで推測ですけどね」。一番気を使うことが船外への燃料の漏油ですね。一般の貨物船の会社は巡回すると、それも30分に1回。確認することは厳しく定められています。こういったケアが少し足りなかったのでは」

 今回の重油流出については、海上保安庁が海洋汚染防止法違反も視野に捜査を進めています。
 重油の流出は2019年1月、仙台港に停泊していたコンテナ船から重油1.5キロリットルが流出して、七ヶ浜沖の養殖ノリが生産中止となり、被害額は15億円にも上りました。

 原因は「船内で重油をタンクに移す際、ポンプの運転状態を十分に確認しないまま移した」と説明されています。コンテナ船の機関長と神戸市の海運会社が、海洋汚染防止法違反の疑いで書類送検されました。

 七ヶ浜町のノリは宮城県の安全宣言を経て、事故から約10カ月後に販売が再開されました。
釜田さんは過去の事例を踏まえ、今回の事故の影響を長ければ数年に及ぶと分析しています。
 三村小松法律事務所釜田和利技術顧問「今回は発見が遅れて、オイルフェンスを張るのがちょっと遅かった。ノリとかワカメですよね。魚とかじゃないので結構な時間がかかるんじゃないかと」

 流出した場所では、ワカメやコンブなどの廃棄が進められています。塩釜市の港では5月中旬までかかるとみられ、ようやく折り返しまで来ました。廃棄する水産物の受け入れ先も決まり、産業廃棄物として宮城県北部の処理場に搬出されるということです。
 県漁協塩釜地区支所渡辺敏支所長「産業廃棄物なのか一般廃棄物なのかというところでの打ち合わせなどで時間がかかり、21日からの搬出になった。漁業者はやっぱり一番心配なのは補償関係だけですかね」

 影響は漁業者以外にも広がっています。20日に関連事業者向けに開催された意見交換会では、食品加工業で重油流出前後の成分調査の提出が求められていることや、包装業で今季の売り上げが半分になったことなどが報告されました。
 塩釜市水産振興協議会赤間俊介浅海養殖監事「水質の安全性の宣言を出していただけるまでは、様々な協議が必要だと考えています」
 ノリ生産者「仕方がないと思いながらも自然破壊に近いからね。2度と同じトラブル起こさないようにとは願う」