宮城県富谷市が通勤通学の足として、都市型ロープウェーZipparの導入を目指しています。実用化に向けた高いハードルについて、専門家に聞きました。

 1日、福島県南相馬市にある実験施設では富谷市が導入を目指す都市型ロープウェーZipparの試乗会が行われました。若生裕俊富谷市長が安全性や研究の進ちょくなどを確認するため初めて実験車両に乗り込み、振動や座席の乗り心地を確認しました。
 若生裕俊富谷市長「予想以上にスムーズで、特にロープ部はほとんど音がしなくてロープが2本張られていてしっかり安定していて、EV動力なのでほとんど音がしない。静かな乗り心地が良かった」

 富谷市は、通勤通学の時間帯に渋滞する仙台市地下鉄南北線泉中央駅までのアクセスを良くするためにロープウエー導入を目指しています。富谷市が2025年度に行ったアンケートでは、7割以上の市民が交通アクセスの改善を求めていて、これまで地下鉄の延伸やバスの活用などを検討してきましたが費用面などで課題があり、ロープウエー導入を決めました。

 Zipparの特徴は、自走式です。2本のロープに電気自動車の構造とほぼ同じバッテリー駆動式の動力源を乗せて、ロープ上を車輪を回して動きます。
 更に、設備投資にかかる費用を抑えられることも特徴です。直径約1メートルの支柱を立てるスペースを確保することができれば設置が可能で、地下鉄などに比べて用地買収費を大幅に減らすことが想定されています。
 富谷市の構想では、明石台地区から泉中央駅までを直線的に進む事業費約100億円のコースと、将監団地を経由する事業費約146億円の2つのコースを想定しています。

 Zipparは、仙台市出身の須知高匡CEOが起こしたベンチャー企業、ジップインフラストラクチャーが開発しました。
 須知高匡CEO「路面電車などと比べて安く建設することができて、バスとは違って無人で走行することができる。この2点が特徴になります。例えばJR在来線が遅れている日でもこちらは普通に走っていたり、実験段階ではあるが風に対して強いところは確認できている」

 福島県南相馬市の実験施設ではレール部分が40メートル、ロープ部分が80メートルの計120メートルで最大速度30キロを目指し安全性の確認などが続いています。

 富谷市民「面白いなと思っていた。新しいシステムなので話題にもなる」「あれば絶対便利なのは間違いないけど、運営が果たしてできるか。始まってすぐ終わってはうまくない。その辺は深く考えないと」
 仙台市民「小さい子どもが一緒だと楽しいだろうし、自転車とか使えない時に使えると便利かなと思います」
 富谷市民「現状、人の出入りと車の混雑を考えると、どうしても明石台が中心になってしまうことは仕方がない。病院もできるので」「別に必要ないかなという思いはあります。団地の方ばかりが盛り上がったり便利になっている」

 想定ルートの敷地の多くを占める仙台市の郡市長は、ロープウエー計画に難色を示しています。
 郡仙台市長「Zipparには頑張ってもらいたい思いはありますけれども、富谷市からの話はまだ詳細が何も無いので何の評価もできないと思います」

 公共交通計画に詳しい東北大学の奥村誠教授は、Zipparの計画は安全性や採算性でクリアすべきハードルが相当高いと指摘しています。
 奥村誠教授「自走式でやることが初めてなんです。そのハードルがものすごく高い。特に安全性に対して別々に動くことができるものを安全に衝突させず、しかも無人でコントロールしないといけないということに対してハードルが相当高い」
 「事業を考える時には、無理なくある程度の年限がたった時に定着して安定的に運営できるかどうかが一番大事なんです今までの鉄道の例で30年。30年間の運行で初期の借金、初期の資本投下のための借金が賄えるかの審査がある」

 そのうえで奥村教授は、ベンチャー企業の新しい取り組みに期待も寄せています。
 東北大学奥村誠教授「難しいからできないではなく、難しいからそれでもやるのがベンチャー企業。それに富谷市が乗っかるかという話。簡単じゃないからこそやるんだということがベンチャー企業」

 多くの富谷市民が泉中央駅までのアクセス改善を求めています。
 若生裕俊富谷市長「自動運転ですので路線バスを補完する意味で、本当に大きな新交通として期待を持てるのではないかと感じている」