仙台市は28日、新型コロナの患者1人から海外でも確認されていない新しい系統のウイルスが確認されたと発表しました。国内で広がる可能性やワクチンの効果について感染症の専門家に聞きました。

確認されたのは、第6波で広がったオミクロン株の「BA.1」と、より感染力が高いとされる「BA.2」が組み合わさった新たな系統のウイルスです。

これまでに国内外で確認されていません。

感染が確認された患者に海外への渡航歴は無く感染経路は分かっていません。

感染症に詳しい長崎大学大学院の森内浩幸教授は、感染のメカニズムについて次のように説明します。

長崎大学大学院・森内浩幸教授「こういう組み換え体が生まれる必須条件としては、同じ人の同じ細胞の中に、BA.1とBA.2の2つのウイルスが感染するということです。でも、いったんそれででき上がった組み換え体は、それ自体が人から人へと感染してきますので、今回見つかった人がよりによってこのウイルスが誕生した第一号ということはむしろ可能性は低いと思います。いつの間にかこの組み換え体のウイルスが出来上がり、それが人から人へと広がっていく中で、たまたまこの人の中で見つかったということだろうと私は思います」。

今回確認されたウイルスは、「BA.1」と「BA.2」が組み合わさった、「XE」と呼ばれるタイプとは別のもので、病原性や感染力の強さはわかっていません。

森内浩幸教授「今すでに広がっているウイルスと比べて、感染力がさらに強くなってるとか何か有利な点があれば、次第に置き換わると思いますし、もし有利な点がなければ、いつの間にか途絶えてしまうだろうと思います。ただそれがさらに広がっていくかどうかっていうのは、BA.2とかさらにはXEとの競争の中で、どのくらいの強さ(感染力)を持ってるかということになると思います」。

現在、国内で接種が進むワクチンの効果はあるのでしょうか。

森内浩幸教授「残念ながらオミクロン株になってこれまでに比べると感染そのものを防ぐ効果はだいぶ弱くなった。それでも必要な分に応じて追加接種をすることで重症化を防ぐ。これはBA.1でもBA.2でも同じように認められておりますし、恐らくXEとか、今回見つかったものも含めて、このBA.1とBA.2の組み換え体に関しても、同じようなことが期待できると思っています」