宮城県が進める仙台医療圏の4つの病院を再編する構想について、県は22日午後、仙台赤十字病院と県立がんセンターとの間で、統合に向けた基本合意を締結しました。名取市内に設ける新たな病院の運営主体は日本赤十字社で、400床程度の病床を設け、2028年度内の開院を目指します。

 宮城県の仙台医療圏病院再編では、仙台市太白区にある仙台赤十字病院と名取市の県立がんセンターを統合し、名取市内に新しい病院を設置する計画です。

 県は22日午後3時半から締結式を開き、日本赤十字社と地方独立行政法人宮城県立病院機構、それに県の3者間で基本合意を結びました。

 基本合意書には、新たな病院を名取市植松入生に設け、病床数は400床程度、日本赤十字社が運営し、2028年度内の開院を目指すことが盛り込まれました。周産期医療の体制を整えるほか、がん診療の連携拠点病院となる予定です。

 村井知事は「今回の病院統合は仙台医療圏における救急医療や周産期医療等の政策医療の課題解決やがんを総合的に治療できる機能を有する病院の実現を目指すものであり、3者での基本合意を締結できたことは県の政策医療について非常に大きな前進であったと考える。この合意により、立地場所や運営主体などの基本的事項について決定できたことから、今後は2028年度の病院開設を目指し、より具体的な診療科や人員態勢について検討する。両病院の統合によって仙台医療圏の南部における新たな拠点病院の整備が実現する。今回の合意が県民の皆様にとって有益なものとなるよう、県としても新病院を可能なな限りサポートしてまいりたい」と述べました。

 また、日本赤十字社の渡部洋一医療事業推進本部長は「日本赤十字社の使命はいかなる状況下でも、人間の命と健康、尊厳を守ること。今回、宮城県が抱える救急医療や周産期医療などの政策医療上の諸問題に対して、赤十字医療施設及び公的病院としての役割を踏まえ、仙台赤十字病院が住民の命と健康を守り、いかに地域医療に貢献するかという姿勢で真摯に協議を行ってきた。現在、仙台赤十字病院の建物は築42年経過している。日本赤十字社としてはこれまで現地での建て替えを検討してきたが、現在地の周辺は仙台市の緑地保全地域ということから、現地建て替えは困難と判断した。このような中で、宮城県から今回の提案をいただいた背景がある。病院を利用していただいている患者さま、関係者、そして八木山地域を含む近隣の住民の皆さまには、長年、病院の運営と赤十字事業に対する理解をいただき、また支えていただきながらともに地域との関係を培ってきたことに深く感謝を申し上げます。その中で統合によって、仙台赤十字病院がこの地から移転することは大変心苦しい思いではあるが、日本赤十字社としては宮城県全体の将来を見据えた地域医療に貢献するために、また仙台赤十字病院が今後、将来にわたって継続的に地域医療を行っていくため、宮城県からの提案を受け入れた。新病院は基本合意書に示されているように救急、周産期、がん診療、災害医療、新興感染症の5つの機能を中心に運営するよう努める。今後とも日本赤十字社は引き続き、医療を通じて地域に貢献していく。なお新病院の開院時期は2028年度を目標としていて、まだ先のことになる。現在、仙台赤十字病院を利用されている皆さまについては、当面、これまでと変わらず診療を続けてまいりますので安心いただければと思う」と述べました。

 一方、青葉区の東北労災病院と名取市の県立精神医療センターを合築し、富谷市に移転させる計画については、今回の基本合意に含まれていません。