震災から時が経ち行方不明者の捜索は縮小されていますが、自ら海に潜り家族を捜し続ける男性がいます。

 高松康雄さん67歳は、行方不明となっている妻の祐子さんを探し続けています。

 海の近くにあった、宮城県女川町の七十七銀行女川支店で働いていた祐子さんは、支店長の指示で高さ約14メートルの屋上に避難しましたが、それを超える巨大津波に襲われました。

 高松康雄さん「ここまできたら無事ということはないと思うんで、もう分かっていることなんでね。であれば、せめて遺体の遺骨の一部でも連れて帰りたいというのは、やはり思いがありますね」

 高松さんは自分の手で祐子さんを見つけようと、2014年2月に潜水士の国家資格を取得してトレーニングを重ね、捜索を始めました。

 高松康雄さん「早く出てきてくださいと。

一緒に帰りましょうと」

 捜索を始めてから約10年で、海に潜った回数は650回を超えています。

 この日は、海の底からバッグを持ち帰りましたが、祐子さんの手掛かりは見つかりませんでした。

 海底には泥が堆積し、見つかる衣類や持ち物の劣化が進むなど捜索は年々難しくなっています。

 高松康雄さん「やっぱりね、家に連れて帰りたいなと思って。また、新しいがれきがないかとかそういうところからですかね、地道にやるしかないかなと思っています」