“あんこのないあんパン”と野党が批判する年金改革法案が20日、国会で審議入りしました。一方、現役世代からは与党案にも野党案にも疑問の声が上がっています。

■年金法案“底上げ”復活を要求

立憲民主党 井坂信彦厚労委筆頭理事 「この法案は将来の問題から逃げる無責任法案であります。総理はすべての現役世代と若者を見捨てるつもりですか」

石破茂総理大臣 「決して現役世代や若者を見捨てるような法案と評価されるようなものではございません」

 20日、国会で審議が始まった年金制度改革法案。当初、厚生年金の積立金を活用した“基礎年金の底上げ”を目玉として掲げていた自民党ですが、なぜ流用するのかと反発を受けて、提出された法案からその内容は削除されています。国会では野党が“骨抜き”だと猛反発しました。

国民民主党 福田徹政調副会長 「就職氷河期世代の命の日常を守るために、基礎年金を増やすという抗生剤を投与しませんか?」

石破総理 「就職氷河期世代を含め、より手厚い年金が受けられるようにするとともに、将来の基礎年金水準の改善にもつながるものであり、丁寧に説明を尽くしてまいります」

 立憲民主党は、法案から取り除かれた基礎年金底上げ策の復活を求める修正案を自民党に提示しました。

井坂厚労委筆頭理事 「全員が増えるというようなバラ色な年金の改正案はありませんが、厚生年金の方も含めての年金の底上げが図られる修正案だということであります」

 現状、与党が衆議院で過半数を割り、野党の協力が欠かせないなかで、与党が修正に応じるかが注目されます。

■現役世代は「納得いかない」

 一方、街の人からは、与党案にも、野党が求める修正案にも疑問の声が上がっています。

厚生年金加入 50代 会社員 「(厚生年金保険料を)強制的に引かれて、強制的に減らされてるというのが、制度として崩壊しているなというのは感じます。そこ(厚生年金の積み立て)を財源にして、国民年金に充てるというのはどうなのかなと。結局サラリーマンの取れるところから取るという感じで、全然納得いかない」

60代 契約社員 「議論すること自体がおかしい。だって、みんなが積み立てようと始めたことを勝手に食い潰したんだから。野党はどうせ何もできないから。でも、自民党ももうダメだし、どうすればいいんだろうね」

 専門家は年金制度の限界を口にします。

法政大学 小黒一正教授 「高齢者はどんどん増えている。現役世代とか若い世代の方は出生率も下がって減っていくので、現役世代が支払った保険料で高齢者の年金をまかなう仕組みに限界がある」

 1994年から20年にわたり正規労働者の数が減る一方で、非正規労働者は増加。そうした変化があったにもかかわらず、年金制度が見直されてこなかった背景には、政治の不作為があると専門家は指摘します。

小黒教授 「先送りしてきたということだと思う。5年ごとに財政検証するわけだが、もう5年経って、もう1回5年経てば10年経ってしまう。本当の意味で抜本改正しなきゃいけないものをできていない。積み立て方式的な要素を強めていけば各世代ごとに払った分は、きちっと戻ってくるようにできる。どうしても賦課(ふか)方式だと、今みたいな形にならざるを得ない。当然入ってくる財源が限られれば給付をカットするしかない」

 21日に行われる党首討論でも法案を巡る攻防は本格化するとみられます。

(「グッド!モーニング」2025年5月21日放送分より)