防災に関する国の新たな司令塔として国が2026年度の創設を目指す防災庁について、仙台市の郡市長は29日、東京都で仙台市への誘致を求める要望活動を行いました。
郡市長は29日午前、内閣官房を訪れ赤沢亮正防災庁設置準備担当大臣に対して防災庁の仙台市への誘致などを求める要望書を手渡しました。
郡市長は赤沢担当大臣に対し、仙台市が東日本大震災から復興してきたことや、災害に強い街づくりを進めてきたことなどをアピールしたということです。
防災庁は、政府が2026年度中の創設を目指していて大規模災害時のリスク分散につながるなどとして、地方にも拠点を置く方針です。
郡仙台市長「仙台市はこの間、復興への歩みを進める中で世界に経験と教訓を発信するということもやってまいりました。災害が起きた時にどう対応するのか、あるいは防災というものをどのようにに考えて日々取り組むべきなのかという知見については、他の自治体よりも多く持っていると自負しております」
仙台市が国に設置を要望した防災庁とは、首都直下地震や南海トラフ地震などを見据えた新たな省庁です。事前防災の強化のほか、発災時には被害の全体を把握し司令塔の役割を担います。国が2026年度中の創設を目指しています。
防災庁は、石破総理が総理就任前から訴え続けてきた肝入りの政策です。
石破総理大臣所信表明演説「人命最優先の防災立国を構築しなければなりません。防災・減災・国土強靭化の取り組みを推進します。専任の大臣を置く防災庁の設置に向けた準備を進めてまいります」
2024年11月には防災庁設置の準備室を立ち上げて検討を進めていて、6月にも組織の概要が示される予定です。
防災庁の誘致は、これまでに兵庫県や石川県、福島県いわき市、関西広域連合など12団体が名乗りを上げています。
4月、防災庁設置に向けて議論が進む有識者会議にゲスト参加した宮城県南三陸町の佐藤仁町長は、設置に賛成の立場を示し過去の災害の教訓を引き継いですぐ対応できる体制をつくることが重要と話します。
佐藤仁南三陸町長「いざという時に(生存率が高いとされる災害発生から)72時間をどうクリアするかというのが1番大事で、その時に機動力があってすぐ対応できるような体制がちゃんとできるような組織が必要なんだろうと」
震災当初から町の復興に取り組んできた佐藤町長は、被災地の自治体職員も被災者だと述べ、発災時に代わりに指揮を執る人員派遣の重要性を訴えます。
佐藤仁南三陸町長「自治体の首長も職員も実は被災者なんですよ。そういった被災した方々、職員の方々に全てをやっていただくということは非常に過酷です。最初の本当に大変な時期を乗り切るということについての人的派遣が、非常に大事だと思っています」
全国各地で誘致の手が上がる防災庁ですが、仙台市にはどのような点に強みがあるのでしょうか。
東北大学災害科学国際研究所今村文彦教授「まずは2015年に、国連が仙台防災枠組というのを作ったんですね。これ今世界の指針になってます。今回の防災庁に対して、その役割を持つと。国内外への発信、そういう役割があると思います。東日本大震災から復興されてますので、そこでの経験蓄積を持っている事、またドローンであったり様々なデジタル防災技術も企業の方々と一緒に開発しているんですね。そういう面でも実績があると思います」