いま旬を迎えている「アジ」。脂が乗り身がふっくらした「黄金アジ」の魅力に迫ります。

■旬の「黄金アジ」魅力は?

 サクッと黄金色の衣を開くと、中からふっくらとした白身が顔をのぞかせる、古くから日本人に愛されてきたアジ。初夏を迎え今、旬を迎えています。さらに、アジの新たな可能性を引き出す「進化系」料理も。

 その舞台となっているのがアジの一大産地、千葉県。旬を迎えた今、千葉のアジが熱い。

 千葉県佐倉市。季節の味を求め、続々と人が集まるお店が…。こちらはとれたて新鮮なアジだけを提供する専門店。毎朝、店に運ばれるこのアジ。実は…。

釣りバカ一代 工藤俊大将 「黄金アジと呼ばれるアジなので、金色にピカピカ光って最高だと思う」

 その名も「黄金アジ」。一般的なアジは体の表面が黒っぽいのに対して、黄金アジは名前の通りの黄金色。この色こそ、特別なアジの証だといいます。

工藤俊大将 「黄金色であればそういうふうに見えるようになれば、とにかく脂のりがいい。もう脂がでちゃっているという感じ」

 日本近海のアジは太平洋沿岸などで産まれ、東京湾のような内湾にやってきて子ども時代を過ごします。その多くは成長すると再び沖合に出ていくといいますが、そのままとどまった一部のアジが「黄金アジ」と呼ばれます。

工藤俊大将 「(東京湾に)入ってきて過ごすと甘やかされて育つ。えさがとにかく(多い)、逃げ場がない。黄金アジを実際に見た人のほうが少ないと思うぐらい、流通してないと思う」

 黄金アジは一般的な漁ではあまり水揚げされないため、この店では毎日1匹1匹、千葉県沿岸の東京湾で釣り上げています。

 そんな黄金アジの魅力を最大限に楽しめるのが、一番人気の御膳。素材のうま味をダイレクトに感じられるたたきと、脂のりの良い白身をサクッと揚げたフライ。2つの魅力を同時に味わうことができます。

「めっちゃうまいです。本当にうまい。このアジフライがここまでうまいところ知らない」 「これが黄金アジなんだ。おいしい」

■“進化系”アジ料理も人気

 大人気の黄金アジ、オープンからわずか1時間ほどで完売御礼の旬のアジ。その魅力を楽しむには、やっぱり定番のたたきやフライがベスト…と思いきや。同じ千葉県でアジの新境地を開く「進化系」メニューも生まれています。

 房総半島を下った南房総市にあるのが、地元の新鮮な海鮮などを提供する複合施設。もちろん、今が旬のアジも施設内の飲食店で提供しています。

房総の駅とみうら 堀江直人さん 「この時期やっぱり旬を迎えているので、脂も乗って丸々と太っている」

 カフェでは、自家製のトーストから顔をのぞかせるのは、大きなサイズの揚げたてアジフライ。びわジャムを使ったソースを使用し、ぴりっとエスニックな風味に仕上げた一品です。

 さらに別の店にも「進化系」が…。

 近海でとれた新鮮な海鮮丼などを提供する食堂。アジフライなどの定番料理がメニューを彩るなか、和食のイメージが強いアジを中華の油淋鶏風に仕上げた、その名も「油淋鯵」。カラっと揚げたアジとしょうゆベースの甘酸っぱいソースとの相性は抜群です。

「メニュー表に『油淋鯵』とあって、なんで肉と思っていたけど、魚だったんですね」

 様々な進化系アジ料理の開発。実はこれ、街を挙げた取り組みなんです。

 南房総市の観光協会と、旅行情報を提供する「じゃらん」。地域の飲食店などが共同で様々な「うまアジグルメ」と称した新メニューを開発しているといいます。

堀江直人さん 「県外からたくさんの客に来てもらって、地元のおいしいアジを広めて、たくさんの人に食べてもらいたい」