9日、リニューアルする西武池袋本店。令和の百貨店として生き残りをかけた新たな「魅力」がありました。

■“百貨店の顔”3Fに狙いは?

 百貨店とは、とにかく人が集まる場所でした。

 客がいっぱいのお歳暮売り場には1万円札が飛び交い、クリスマスセールのおもちゃ売り場はこのにぎわい。

 1960年代、白黒映像のころまでさかのぼると、どうでしょう。子どもも大人も夢中になれるものが、そこにはありました。

 そんな時代を象徴する百貨店の一つが「西武池袋本店」です。昭和のころ、人々は“うなぎ”を求めて殺到…。平成には、正月の風物詩「福袋」が争奪戦になりました。

 創業から80年以上が経ち、老舗は次の一手に出ます。

西武池袋本店 寺岡泰博店長 「残念ながら売り場面積は半分になったが、無事に化粧品の売り場をつくることができて、オープンできた」

 アメリカの投資ファンドによる、そごう・西武の買収を受け、西武池袋本店では大幅な改装が行われています。これまでの売り場面積の半分は「ヨドバシカメラ」が出店する予定です。

 リニューアルの先陣を切って9日、オープンするのが…。

店員 「お会計いただいたこちらのリップで用意させていただきます」

 店が得意としてきた化粧品売り場です。

 実は、このリニューアルでは、ある慣例が破られました。化粧品売り場が3階という異例の場所に設けられるというのです。

 百貨店では化粧品売り場の多くが1階にあり、西武池袋本店でも同様でした。

寺岡泰博店長 「これまでも1階という中でたくさんのお客様にご利用いただいておりましたが、少し場所が狭かったり、ショップが小さかったりしていた。今回はフロアがややゆったりと使える。接客も少しゆったり時間をかけてできる」

■令和の百貨店“新3本柱”

 店の面積が半減するなかで、アパレルやインテリア用品は縮小。レストラン運営もやめることになりました。

 今後は高級ブランド、デパ地下、化粧品を3本柱として運営していくことになります。

寺岡泰博店長 「新しい気持ちで再スタートを切りたい」

■令和の百貨店 新たな“魅力”

 生き残りをかけ、意外な事業に参入する百貨店も…。

近鉄百貨店 総合企画本部 荒鹿充範課長 「マンゴー生産を去年からスタートしている。最終目標は、日本一のブランドにしたい」

 たわわに実るマンゴーを育てたのは「近鉄百貨店」です。

荒鹿充範課長 「一応、お中元で予約を受け付けておりまして、今現在は完売している状態」

 今年初めて収穫するマンゴーは、すでに完売です。

 さらに、近鉄百貨店ではおととしから、イチゴの生産を始め、年間25トンを収穫しているそうです。

荒鹿充範課長 「百貨店として生き残っていくために、お客様に対してどのような価値を提供するのかを考えた時に、第1次産業に入り、価値をお客様に伝える方法=農業」