まもなくお盆を迎える各地を、大雨が襲いました。

京都の奥座敷、貴船では川床が崩落する事故が起きました。 12日午前11時過ぎ、川床を営む飲食店の従業員から「川床まで増水し、客が流されそうになったが、救助している」と通報がありました。

警察によりますと、川床にいた客は6人。食事をしていた最中に突然、川の水位が上がり、川床が浸水しました。5人は自力で避難しましたが、1人は、急な増水で逃げられなくなったといいます。

女性客(79) 「ひざ上から腰付近まで、急に水位が上がったので逃げられず、床ごと下流に3メートルほど流された」

女性は、店の従業員に救助され、無事でした。

12日の貴船の天気は曇り。当時、雨は降っていませんでした。ただ、京都市内では、12日朝までの48時間の総雨量が114.5ミリと、8月、1カ月分の7割にあたる雨が降っていました。その影響か、普段より川の水は多かったといいます。

事故が起きた川床は、川に足を浸けて食事を楽しむこともできました。水面と近いところでは、約30センチ。店は、京都府に対し「警戒水位を下回ったため、営業していた」と話しているということです。

川床の営業判断は、行政が決めた基本的な2つの点以外、特になく、店舗ごとに設定した警戒水位や天候をみながら、やる、やらない、を決めています。実際、周辺の店では、12日は川床を休む、もしくは営業するかどうか検討中でした。

観光客 「水の流れが早かったんで、これに落ちたら、落ちたと思ったら命にかかわる…安全に楽しめるように、もう1回、調べてほしいというか、点検をしっかりしたうえで、再開してもらえたら」

熊本の豪雨、京都の大雨、共に停滞した前線に、非常に暖かく湿った空気が流れ込み、前線が活発化したのが原因です。その同じ前線の影響で、北陸でも大雨となりました。

住民 「お盆にかけてこんな天気になっちゃってどうしようかな。お墓掃除も行けないし」

奥能登は、再び、災害の場になっていました。

幅20メートルに渡って崩れた国道。トレーラーなど、車3台が巻き込まれ、乗っていた3人が病院に運ばれる事態となりました。

北陸は能登半島を中心に雨の量が多くなり、この2日間は、8月、1位の記録を更新するような大雨となったところがありました。

6日に降り始めてからの雨の量は、珠洲市で548ミリ。平年8月の3倍以上もの雨が降りました。

去年の大地震、豪雨によるダメージも残り、能登半島全体で地盤に大きな影響が出ているとみられています。

地震と豪雨で、いまだ多くの人たちが避難生活を強いられている珠洲市。今回の大雨は、2カ所の仮設団地を床下浸水させました。

98年間、珠洲で生きてきた椿原薫さん(98)。 自宅の庭も、土間も排水はしたものの、浸水の跡が残っています。

椿原薫さん 「地震と水害と2回やられて、今年、また水害。心配だらけ。ずっと心配が続く。雨が降っとる以上は」

本来なら、お盆のシーズン。 ただ、警戒レベルの大雨だと、帰省もままなりません。

輪島市町野町のスーパーで買い物をしていた女性。義理の妹が2泊3日で帰ってくる予定でした。しかし、状況が安定しないままだと、この夏は断念せざるを得ないそうです。

買い物客 「残念よね。お互いに楽しみにしていたから、とても残念。『去年9月の豪雨のときみたいに、ひどくならなきゃいいね』と言っては、みんなして外を見ています。雨の強さをね」

このスーパーの2階が、避難所になっていました。去年、立て続けに起きた大災害を教訓に、倉庫を改造したものです。

もとやスーパー 本谷一知店長 「作業員・ボランティアさんが、洪水や地震で孤立してもいいように、畳み敷いて、テントと布団を用意しているんです。1つの安心材料になりますね。僕らも安心ですし。水が来て住むところがなくなったら、ここで寝るしかない」

被災した店舗は、来年、改築予定です。しかし、その周囲の崩落した護岸は応急処置のみです。

もとやスーパー 本谷一知店長 「復旧復興というのは、まだ少し時間がかかるという感覚。町の人の意識も変わってくるんだろうなと。ずっと、このまま新しいものができないでいると、“この町を離れる”という判断材料になる。だから、なるべく早く、新しいものを作りたい」