静岡県の函南町の幹部職員の間で「少数会派の議員には嫌がらせを大いにやろう」などとする文書が存在し、勉強会で使われていたことが分かりました。この文書を番組で入手しました。

■町の幹部職員が“嫌がらせ文書”

函南町 共産 田中正美元町議 「ずっとはっきり言っていじめられてるからね。散々見えないところでやられてたと」

 こう憤るのは、町議会議員をしていた男性です。今問題が起きているのは、静岡県の伊豆半島北部に位置する函南町、人口およそ3万5000の小さな町です。

 番組が入手した、その問題の資料は35枚。これは、役場の古株の職員が、新しく役職についた職員などを対象に行った勉強会で配っていた資料です。忖度(そんたく)を促すような内容が書かれていました。

勉強会で使われていた資料 「議員の所属党派や会派などによって対応や答弁内容を『忖度』するのは当たり前」 「特に保守系会派『清風会』の議員に対しては、本書に記載された内容にかかわらず、特段のご配慮をお願いします。逆に、共産党などの当初予算に反対している議員への対応や答弁は粗雑でかまわない」

 勉強会は6年前から合計8回行われ、文書にはこのほかにも不適切な内容が多く含まれます。

勉強会で使われていた資料 「特定の議員(共産党など)の一般質問に対して再質問の時間を減らすために、意図的に回答を長くする嫌がらせは、大いにやりましょう」 「私の個人的な意見ですが、当初予算案を反対している議員から、事業執行についてとやかく言われる筋合いはない!」

 函南町議員は16人で、うち11人が自民党系会派、残りの5人は共産党や無所属など別の会派です。

 文書の中で、名指しで粗雑な対応で構わないとされていた、共産党の元町議は次のように話しました。

田中元町議 「私は一番先にざっと見た時、これは議員に対して当局が、言葉は悪いですけど、軽く扱っているなと、はっきり言っちゃうと馬鹿にしているような書き方だ」

 現職の副議長で、無会派の土屋学議員も、同じように粗雑な扱いを受けてきたといいます。

土屋副議長 「1問2問を長く説明したりとか答弁をして、あとはゆっくりですね、話し方をすごくゆっくりして、そうすると10質問したいのは3つとかで終わっちゃうわけです。例えば僕が終わって次の方が質問をする時は、普通にしゃべるペースで答えたり、テキパキ答えるところが見られる。やっている中でそういうことはすごく感じる」

■“嫌がらせ文書”町長は知らず「言語道断」

 函南町のトップ・仁科喜世志町長は、勉強会のことや資料の存在を知っていたのでしょうか。

仁科町長 「全く知りませんでした。(当事者を)呼び出しまして、ここでですね、すべてのことを聞いて事実かどうか私が聞いた時に、『私がやりました』と、そして急に顔色も変わったなかで、私の目を見ながら、『組織そのものに大変迷惑を掛けました』、『特にこれからも町長に多大な迷惑も掛かりますので、6月30日をもって退職させていただきます』ってその場で口頭があった」

 資料を作成した男性職員は、すでに退職したと言います。

函南町 仁科喜世志町長 「忖度や粗雑な扱いをするとか、実際そういう勉強会というので文字にも残してありながら、役場の庁舎の執務時間内で行われたことについては言語道断の中にある。大変申し訳ないと思っている」

(「グッド!モーニング」2025年8月23日放送分より)