サントリーが緊急会見を開き、新浪剛史会長(66)が辞任したことを発表しました。捜査関係者によると、大麻由来の成分が含まれた製品をアメリカから輸入したとして捜査を受けていました。
■“違法サプリ”購入疑い 本人否定
サントリーホールディングス 鳥井信宏社長(59) 「本人から『一身上の理由により、役職を辞任したい』との申し出を受け、9月1日付で受理しました。捜査中の事案であるため詳細を申し上げられないことはご理解いただきたい」
2日午後3時から行われたサントリーホールディングスの緊急会見で、新浪会長が辞表を提出したことが明らかになりました。
サントリーホールディングスによると、新浪氏は購入したサプリメントに関して、警察の捜査を受けたということです。
サントリーホールディングス 山田賢治副社長(63) 「8月21日木曜日深夜、新浪氏から自身の購入したサプリメントに関し疑惑が生じている旨の一報があり、翌22日金曜日お昼の12時半ごろ、新浪氏から同日早朝に警察の捜査が行われた旨の連絡があり、当社として本事案を認識しました。当社は急きょ同日13時よりリスク検討会を招集し、対応方針を確認のうえ、鳥井社長にも同時に事実が報告されております」
新浪会長はサントリーホールディングスの会長であり、経済同友会の代表幹事でもある、日本の経済界のリーダーの1人です。
捜査関係者などによると、福岡県警や税関が今年7月に逮捕した男を調べるなかで、新浪会長への疑惑が浮上。
これを受け、福岡県警は先月22日、大麻由来の成分が含まれた製品をアメリカから輸入したとして新浪氏の都内の自宅を家宅捜索したということです。
自宅から製品は見つからなかったほか、簡易の尿検査では陰性で、新浪氏は任意の聴取に対し「薬物のようなものが送られてきた認識もあまり定かではない」などと容疑を認めない趣旨の説明をしたということです。
山田副社長 「新浪氏から2回にわたってヒアリングを実施、22日と26日。その中で新浪氏からサプリについての知り得る情報等あったが、それに関しては申し訳ないが捜査の最中で控えさせていただきたい」
鳥井社長 「色々なご意見があったのも事実。ただ本当にこの10年、グループの成長に貢献していただいたのは事実ですし、その(議論した)時点では全員一致で辞職をお願いしようと」
サントリー側は、サプリに関する認識を欠いた行為は会長の要職に堪えないと判断し、新浪氏からの辞任の申し出を受理しました。
■華々しい軌跡
急転直下の辞任劇。今後、サントリーのみならず、日本の経済界全体への影響も考えられます。
新浪氏は経済三団体の一つ、経済同友会の長でもあるのです。
経済同友会代表幹事 サントリーホールディングス 新浪会長(6月) 「昭和そして平成に作ってきた仕組みはもうもたないです。そこは国民はよく分かっているから、そこに対してちゃんとメスを入れてくれることが重要」
その軌跡は華々しいものでした。
1959年生まれ、横浜市出身の新浪氏。慶応大学を卒業し、総合商社である三菱商事に入社。頭角を現し始めます。2002年、43歳という若さでローソンの社長に就任すると…。
ローソン社長時 新浪氏(当時49) 「ローソンもすでに10年前に全国に出店、地方に強いコンビニと自負しています。日本郵政が長年築いた全国津々浦々のネットワークは、日本の財産といっても過言ではない。貴重な国の財産であるネットワークを維持拡大する一助となりたい」
郵便局とコンビニの提携に尽力するなど手腕を発揮。
ローソン会長時 新浪氏(当時55) 「色々な改革や新しいことを、オンリーワンを目指してきました。色々なことをやってきましたが、就任当初は加盟店との関係もぎくしゃくしていました。現在は共存共栄、団結してやっていこうという関係。営業利益が去年度も含めて11期連続増益という結果になりました」
11年前、サントリーホールディングスの社長に就任しました。創業家以外の人物が社長に就くのは初めてのことです。
サントリーHD社長時 新浪氏(当時55) 「世界中の現場を回って、サントリーの文化、脈々と流れる文化を継承させていただきたい」
その後、経済同友会の代表幹事に就任。サントリーの代表として、また経済界の重鎮として、発言や動向が度々注目されました。
フジテレビ問題に…。
新浪会長(4月) 「一連の取り組み状況及び再発防止策は、今後のロードマップも示されていることも評価されるべきことだなと。CMの再開というものを今後、検討していく段階にきているのではないか」
コメ問題。
新浪会長(6月) 「今、消費者の皆さんコメの値段で悩んでるというのは大臣ご案内の通りだと思います。この問題について早期に手を打っていただいていること、そして少しずつ安心感が出てきている。スピーディーなアクションというのは大変評価をされていると、我々経済同友会としてもそう思っておりまして、引き続きリーダーシップをお願いしたい」
■新浪氏についてサントリーHDは
今回購入したサプリメントに関して警察の捜査を受けたという新浪氏。違法薬物に詳しい法科学研究センターの雨宮正欣所長は一般論と前置きしたうえで。
「大麻由来の物質のサプリは色々なものが販売されていて、危険な麻薬の成分『THC』が入っているサプリが流通しているので注意が必要」
サントリーホールディングスは新浪氏について…。
鳥井社長 「私自身も新浪氏とずっと一緒に仕事をしてきたし、ここにいる人の中には新浪氏と2人で会見したことを覚えている人もいると思うが、二人三脚でやろうと言ったのに残念」
山田副社長 「新浪氏からのコメントです。『一身上の都合により役職を辞任したいとの申し出をし、受理していただいた。会長の仕事を続けることができなくなったことは残念に思っています』」