前代未聞の出来事です。県警の科学捜査研究所に所属する男性職員が不適切なDNA型鑑定です。

■40代男性 不適切なDNA鑑定

 捜査や裁判の根幹を揺るがす事態となるのでしょうか…。

佐賀県警 「このような事案を発生させたことに対して、県民の皆様に深くおわび申し上げます。申し訳ありませんでした」

 佐賀県警は8日午後、科学捜査研究所、いわゆる「科捜研」に所属する職員がDNA鑑定で不適切な対応をしていたとして、証拠隠滅などの疑いで書類送検。懲戒免職にしたと発表しました。

佐賀県警 「2017年6月から去年10月までの間、DNA型鑑定作業で不適切な鑑定」

 懲戒処分を受けたのは佐賀県警本部の科学捜査研究所に所属する40代の男性職員です。警察によりますと、実際には行っていないDNA鑑定を行ったかのように報告したり、使用したガーゼなどの資料を紛失し、依頼元へ別のものを返却したりするなどしていたということです。

 なぜこんなことをしたのか、それはあまりにも身勝手な理由でした。

 処分を受けた職員は約2割ほどにあたる130件で、不適切な取り扱いをしていたということです。期間は去年10月までの約7年間に及びます。

 元埼玉県警で科捜研に勤めていた雨宮氏は、DNA鑑定の重要性について…。

法科学研究センター 元埼玉県警科捜研 雨宮正欣さん 「DNA鑑定とは鑑定費用も非常に高価だったり重要な事件だけに行われてきたが、最近はDNAが採取できるならば数多くの事件に採用されている。被告人が有罪か無罪か判断するうえで極めて大きい位置を占める」

 去年10月、上司が鑑定記録に嘘が記載されているのを見つけ、発覚しました。

法科学研究センター 元埼玉県警科捜研 雨宮正欣さん 「専門的な知識を持った上司が必ず1名以上、複数のダブルチェック、トリプルチェックを経たうえで裁判所に提出される。今後の刑事事件の裁判に影響を及ぼす可能性もある。非常になげかわしい事案」

 なぜ不適切な鑑定をしたのか…。

 職員は県警の調べに、不適切な対応を認めているということです。

男性職員 「上司に自分の仕事ぶりをよく見せるためだった。作業が遅いことなどを上司から指摘されるのを避けるため」

 佐賀県警は不適切な鑑定の一部は事件の証拠として使われていますが、捜査や公判には支障はないとしています。