サッカーJリーグの名門『横浜F・マリノス』が揺れています。親会社で経営再建中の日産自動車がクラブの運営会社の株式売却を検討していることが分かりました。

■サッカー部が源流 優勝回数2番目

横浜F・マリノスは、32年前のJリーグ開幕から参加している“オリジナル10”と呼ばれるクラブの1つです。“ミスターマリノス”木村和司。中村俊輔。中澤佑二ら日本代表選手を排出し続けてきました。鹿島アントラーズに次いで2番目に多いリーグ優勝を誇り、これまで1度も降格したことがありません。そんな名門クラブの売却が検討されているとの情報が飛び込んできました。

ホームタウンの横浜市は。

横浜市 山中竹春市長 「私も今朝、報道を見て驚いた。多くの市民の皆様に、長年にわたって愛着を持たれて活動してきた横浜市のクラブ。ぜひ存続してほしい」

横浜市も関係者への事実確認を進めています。

横浜F・マリノスは、日産自動車サッカー部を源流とするクラブです。クラブを運営する会社の株式の約75%は日産自動車が保有しています。その日産が、運営会社の株式売却を検討し、複数の企業に打診していることが関係者への取材で分かりました。

■工場閉鎖など経営再建中に

日産は今、経営の立て直しを急いでいます。昨年度の決算で6700億円を超える巨額の最終赤字に陥り、国内外7つの工場を閉鎖して、2万人を人員削減する計画を打ち出していました。スポーツ関連事業も例外ではなかったようです。

イングランド・プレミアリーグでマンチェスター・シティなどを運営する『シティ・フットボール・グループ』とは、これまで10年以上、パートナーシップ契約を結んでいましたが、その契約を終了。さらに、20年にわたって親しまれてきたマリノスの本拠地『日産スタジアム』。この命名権についても、日産は現在の半額にあたる年間5000万円での契約を横浜市に打診したことが明らかになったばかりでした。

そもそもマリノス自体の経営状況はというと、1月期の純利益は約900万円。黒字を維持したとはいえ、J1の平均、約7000万円を大きく下回っています。

■「何を切っていくか考えると…」

日産の関係者に話を聞くと。

日産の関係者A 「手放す意味があるのかなとシンプルに疑問。利益が出ている分、お荷物ではないと思う。ただ、固定費がかかっているのも事実なので、何を切っていくか考えた時に、議題にあがるのは自然なことだと思う」

日産の関係者B 「ずっとJ1で居続けて、ブランド認知の向上という目的はもう果たせたのではないか。今後は『費用対効果があるんですか?』という話だと思う」

横浜市民はどう受け止めているのか。

横浜市民 「日産なくなっちゃうの?」 「J2降格間近なので、横浜F・マリノスも頑張ってもらいたいけれど、日産ももう少し頑張ってもらいたい」

サポーター歴20年以上 「ずっと応援してきて、マリノスのユニホームの胸に日産と入るのが当たり前だったので、お金の関係で難しくなるのは心配」

今回、浮上したマリノス売却の話について、日産自動車は「当社から発表したものではありません」とコメントしています。